失業率は改善も就業者数が減少、求人倍率上昇-生産は先行き停滞も

8月の完全失業率は3か月ぶりに 改善したものの、就業者数は2カ月連続して減少した。景気の先行き に不透明感がある中、職探しを見合わせている人が増えている可能性 がある。一方、鉱工業生産指数は前月比で5カ月連続のプラスとなっ たが、伸び率は微増にとどまり、先行きに停滞も予想されている。

総務省が30日発表した労働力調査によると、8月の完全失業率 (季節調整済み)は4.3%。前月の実績値と、事前のエコノミスト予 想中央値(ともに4.7%)を大きく下回った。調査は、震災の影響で データが得られない岩手、宮城、福島の3県を除いて集計した。

一方、就業者数(季節調整値)は5943万人で、前月から16万人 減少。職に就かず、求職活動もしていない「非労働力人口」は4322 万人と同20万人増加した。総務省によると、2008年10月のリーマン・ ショック時にも同様の傾向があったという。

第一生命経済研究所の新家義貴主任エコノミストは統計発表後の リポートで、失業率の大幅改善は「労働市場からの退出が進んだこと によるもの」とし、「額面通りには受け取れない」と指摘した。

雇用の先行指標である有効求人倍率(季節調整値)は同月、0.66 倍と前月比0.02ポイント上昇。3カ月連続で改善した。新家氏は、今 後「緩やかに雇用は増加していく可能性が高い」とし、「生産回復に伴 う雇用増のほか、復旧需要に伴う建設業雇用の増加なども期待できる」 と指摘。ただ、円高や海外経済減速などを背景に「雇用の増加ペース は緩やかなものにとどまる可能性が高い」とみている。

生産は先行き足踏みも

一方、順調に回復をみせてきた生産活動は先行きに足踏みも予想 されている。経済産業省が30日公表した8月の鉱工業生産指数(季節 調整済み)は前月比で5カ月連続のプラスとなった。ただ、震災で打 撃を被ったサプライチェーン(供給網)の復旧に伴う回復が一巡した こともあり、伸び率は前月に続き微増にとどまり、事前予想も下回っ た。

同省の発表によると、生産指数は前月比0.8%上昇の93.7。前年 同月比では0.6%の上昇だった。ブルームバーグ調査の予想中央値は それぞれ1.5%上昇、1.1%上昇。

農林中金総合研究所の南武志主任研究員は発表後のリポートで 「8月時点で調査対象の大企業に関しては復旧作業が一巡した可能性 が高く、今後は大震災前と同様に、輸出や内需の動向に左右される面 が強まったと言える」と指摘。世界経済の減速による輸出への影響な どが「生産の伸びを抑えている可能性が高い」とし、「復興需要が本格 化する年明けまでは停滞感の強い展開が続くと思われる」と述べた。

物価は小幅上昇-先行きマイナスへ

8月の物価は前年比で小幅上昇した。総務省が発表した全国の消 費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)は、前年同月比0.2%の プラスとなった。ガソリンなどエネルギー関連が全体を押し上げた。 ブルームバーグ・ニュースがまとめた予想中央値は全国が同0.1%上 昇、東京は同0.1%低下が見込まれていた。

みずほ証券のチーフマーケットエコノミスト、上野泰也氏は統計 結果について、変動の大きな食料(酒類除く)とエネルギーを除いた ベースでは、全国の指数が前月から横ばいだったことなどを指摘。「全 国CPIの基調部分は、8月はほぼ動かなかったという結論になる」 との見方を示した。

先行指標とされる9月の東京都区部は0.1%低下。新家氏は統計 発表前、10月以降は、昨年のたばこ増税や傷害保険料引き上げによる 押し上げ効果がはく落するとして、「再びマイナスに転じることが予想 される」とコメントした。

--取材協力:Minh Bui, Theresa Barraclough Editor: Norihiko Kosaka, Hitoshi Sugimoto

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