EU金融取引税、欧州離れの脅威も障害に-早期の合意は困難か

欧州連合(EU)の行政執行機 関である欧州委員会が提案した株式と債券、デリバティブ(金融派生 商品)の取引に課税する金融取引税について、クレディ・スイス・グ ループのアナリストは実際に導入される公算は小さいとみており、監 査法人アーンスト・アンド・ヤング(E&Y)の専門家も合意はかな り先になると考えている。

クレディ・スイスのカルラ・アントゥネスシルバ氏など、ロンド ン在勤のアナリストらは29日付の顧客向けリポートで、「現時点で われわれは欧州全域で取引税が導入されるという見通しに懐疑的だ」 と指摘。EU加盟27カ国が取引税で合意した場合、市場に「非常に 大きな悪影響」を与え、投資銀行と取引所、高頻度取引のプラットホ ームが特に打撃を受けるとの見方を示した。

一方、E&Yの税制担当責任者、クリス・サンガー氏(ロンドン 在勤)は電子メールで、金融取引税は金融機関それ自体ではなく、顧 客に対する課税につながる恐れがあり、また金融機関がEU域外に脱 出したり、課税を回避するために海外に子会社を設立したりする危険 を伴うことも障害になると指摘。「これらの不透明要素や各国世論の 乖離(かいり)が続いている状況の重大性を考えると、欧州全域での 金融取引税導入に関して拘束力ある決定が行われるのは、まだかなり 先になりそうだ」としている。

EUの金融取引税実施には、シティー(ロンドンの金融街)を擁 する英国の同意が必要だが、英財務省は28日、「原則反対しない」 としながらも、「いかなる取引税も国際的な適用が前提になるだろう。 克服すべき実務的な問題が幾つも存在する」との声明を発表した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE