円が対ドル76円半ばに上昇、ギリシャ財政再建見極め-介入警戒も

東京外国為替市場では、円が対ド ルで1ドル=76円台半ば付近を中心に、前日の海外市場で付けた2週 間ぶりの安値77円03銭から水準を切り上げて推移した。ギリシャの 財政再建をめぐる不透明感を背景に欧州経済の先行き懸念が根強いこ とから、リスク回避に伴う円買い圧力がくすぶった。

円は対ドルで朝方に付けた76円86銭を下値にじりじりと水準を 切り上げ、76円台半ばまで上昇。午後の取引で一時76円50銭を付け る場面も見られた。午後3時55分現在は76円67銭付近で取引されて いる。前日の海外市場では、米欧発の材料を受けてリスク回避の動き が緩和し、一時77円02銭と15日以来の水準までドル高・円安が進ん でいた。

岡三証券外国証券部シニアマネジャーの相馬勉氏は、ギリシャの 財政再建策の査定をめぐって一喜一憂する展開が続く見通しだが、最 終的にはデフォルト(債務不履行)の議論が避けられない可能性が残 ると指摘。ギリシャ問題の道筋がはっきりとするまでは、「ユーロがず るずると下落する」展開にならざるを得ないとみている。

前日の海外市場で一時1ユーロ=104円93銭と、2営業日ぶりの 水準までユーロ高・円安が進んでいたユーロ・円相場は、東京市場で 104円48銭を円の下値に103円台後半に値を戻して推移。午後には一 時103円52銭まで水準を切り上げた。

円売り介入警戒感

安住淳財務相は30日午前の閣議後会見で、財務省が外為市場での 介入資金の原資となる外国為替資金特別会計の借入限度枠を現行の 150兆円から15兆引き上げるなどの円高対策を明らかにした。

また、安住財務相は「70円台後半は日本経済に冷や水を浴びせ掛 けかねない水準。投機的な動きが入り、さらに円高になる流れになる ことは防がなければならない」と強調している。

みずほ証券の鈴木健吾FXストラテジストは「円高トライ相場が 終わった感じは全くない」として、再び円が対ドルで戦後の最高値を 更新する可能性は十分残っていると指摘。その上で、円の高値更新時 が日本当局による円売り介入が入るタイミングとして警戒されると説 明している。

ドル・円相場は8月19日に一時75円95銭と円の戦後最高値を付 け、その後9月9日に77円86銭まで円安が進んでいたが、同月22 日には76円11銭まで円が値を戻している。

ユーロ先安観根強い

欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(EC B)が派遣したいわゆるトロイカ代表団は29日にアテネ入りし、ギリ シャの財政再建策の進展状況に関する査定を再開した。

アテネでは少なくとも5つの省庁などの政府の建物が政府に抗議 する市民によって封鎖されたとの報道もあり、緊縮策の行方には不透 明感が根強い。

クレディ・スイス証券外国為替調査部の深谷幸司チーフ通貨スト ラテジストは、ドイツ議会の欧州金融安定ファシリティー(EFSF) 拡充案可決は「ある意味当然の話」で、ギリシャ向け第6次融資の実 施の行方など依然として不透明感が残るなか、リスク回避の動きがく すぶると指摘。ギリシャ財政再建案の査察団が「どのくらいかけてゴ ーサインを出すかで、それが動き出さないとみんな安心できない」と している。

29日には、ドイツ連邦議会(下院)がEFSFの拡充案を可決。 これを受けて、欧州債市場では、ギリシャ国債が上昇し、他の高債務 国国債の上げをけん引した。

また、米国で29日に発表された経済指標では、4-6月の実質国 内総生産(GDP、季節調整済み、年率)確定値の上方修正や、先週 の新規失業保険申請件数(季節調整済み)の減少。米国株式相場は、 指標結果を好感して、ダウ工業株30種平均が2営業日ぶりに上昇し、 一時は上げ幅が260ドルに達した。株価の予想変動率の指標であるシ カゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX 指数)は低下していた。

ECB政策動向を見極め

一方、ドイツではこの日、8月の小売売上高指数が発表されるが、 ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想では、前月比で0.5% の低下が見込まれている。

来週10月6日には、ECBの金融政策決定会合が予定されており、 市場では、ギリシャの財政再建や域内の景気動向を慎重に見極める動 きが続きそうだ。

三菱東京UFJ銀行の武田紀久子シニアカレンシーエコノミスト (ロンドン在勤)は、7月には利上げをして8月にも一応そのニュア ンスを残していたECBが9月の前回会合で、はっきりと景気見通し を下方修正するなど、「方針転換してきた」と説明。域内債務問題につ いては「本質的な解決には非常に時間がかかる」上、市場がECBの 利下げも織り込み始めている面もあり、引き続きユーロが緩やかに下 げて行く展開を見込んでいる。

ユーロ・ドル相場は前日の海外市場で1ユーロ=1.3679ドルまで ユーロが上昇していたが、この日の東京市場では1.3601ドルを上値に、 一時は1.3507ドルまで下押されている。