ドイツ議会が救済基金の拡充案を可決-メルケル首相の次の手に道

ドイツ議会は29日、ユーロ圏の 救済基金である欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の拡充案を 可決した。

ドイツ連邦議会(下院)は523対85で、EFSFに国債購入や 銀行への資本注入、財政難国への予防的な与信枠設定を認める案を可 決した。これにより、ドイツがEFSFに提供する保証は2110億ユ ーロ(約22兆円)と、これまでの1230億ユーロから増加する。

欧州一の経済大国であるドイツが拡充案を承認したことで、ギリ シャを支え投資家の不安を払拭(ふっしょく)するための次なる措置 の議論の開始が可能になる。ギリシャ国債で投資家に損失負担拡大を 求めることや救済基金をさらに拡大すること、銀行を保護することな どが今後の選択肢に含まれる。

今月先に拡充案を批准していたフランスは、ドイツの可決を歓迎 した。欧州連合(EU)は拡充後のEFSFが10月半ばには始動で きるとの見通しを示した。

ジョー・ベレンベルク・ゴスラーのチーフエコノミスト、ホルガ ー・シュミーディング氏はEFSF拡充案の可決でドイツの政策当局 は第2次ギリシャ救済パッケージに議論を集中させることができると 指摘した。その議論が「年内のギリシャの秩序あるデフォルト(債務 不履行)についての議論へと発展していくかもしれない。ギリシャ債 のヘアカット(債務減免)とともに直ちにギリシャの銀行に資本を注 入し、再編後のギリシャ債に欧州が保証を付け、条件付きで財政支援 を提供することが考えられる」と話した。

懸念の高まりが可決を後押し

救済負担に対するドイツ国民の反発を受けて連立与党の議員の中 には基金拡充への賛成をためらう空気もあったが、ギリシャのデフォ ルトがユーロ圏の中核国をも傷付け世界をリセッション(景気後退) に陥れるとの国際的な懸念の高まりで法案否決の懸念は後退していた。

連立与党連合は、野党の協力がなくても同案を可決できる賛成票 を確保した。主要野党の社会民主党と緑の党の議員も賛成票を投じた。 メルケル首相のキリスト教民主同盟(CDU)のペーター・アルトマ イアー幹事長はZDFテレビで、「与党連合の団結は最終的に反対よ りも強かった」と語った。ただ、「この問題にまだしばらく取り組ま なければならない」と付け加えた。

協議されている次の措置にはレバレッジによってEFSFをさら に強化する案や恒久的な救済基金である欧州安定化メカニズム(ES M)の発足を1年以上前倒しする案、7月に合意された第2次ギリシ ャ支援について再交渉し銀行の貢献を増やす案、デフォルトが避けら れない場合のために欧州の銀行の安全網を整備することなどが含まれ る。

今回のEFSF拡充には、17カ国すべてのメンバー国の承認が必 要。ドイツの前にスペインとフランス、イタリア、ベルギー、ルクセ ンブルク、ギリシャ、アイルランド、スロベニア、フィンランドの9 カ国が承認していた。エストニアとキプロスも29日に採決し、オー ストリアは30日に採決する。ドイツの上院は30日に基金について審 議する。

ドイツ議会の可決を受けて欧州連合(EU)の欧州委員会のアル タファイ報道官は、EFSF拡充案の「批准手続きが10月半ばごろ に完了すると確信している」と述べた。ブリュッセルで記者団に語り 「そうなればユーロ圏にとって大きな朗報だ」と付け加えた。

ショイブレ独財務相はこの日、ドイツのDLFラジオの番組で、 欧州の一員として「責任を認識している」とし、「欧州が新たな世界 の大規模金融・経済危機の震源となるのを断固回避しなければならな い」と述べていた。