世界のIPOの中止・延期が過去最高ペース、株式相場急落で案件山積

株式相場の急落を受けて企業が 7-9月(第3四半期)に中止または延期した新規株式公開(IPO) の総額は89億ドル(約6812億円)と、過去最高を記録する勢いを見 せている。

今年初め以降でみたIPOの中止・延期の総額は340億ドルで、 ブルームバーグによるデータ集計開始後で最高だった2010年の400 億ドルに迫りつつある。ドイツのエンジニアリング会社シーメンス は照明部門オスラムのIPOを延期。米防衛機器メーカー、ADSタ クティカルと上海の小南国餐飲控股は断念した。

IPOのペースが鈍化した背景には、株式相場が約1年ぶりの安 値に下落し、株式のボラティリティ(変動性)が8月に09年以来最 高の水準に達したことがある。資本市場データ分析会社アイプレオ・ ホールディングスによると、米国では延期が相次ぎIPOの未処理の 案件は9月20日時点で154件と、少なくとも06年以来最高。

シティグループの欧州担当株式資本市場責任者、ティム・ハービ ーサミュエル氏は「発行体企業は適切な機会を探しながらもっと我慢 強くなることを学んだ」と述べ、「多くの案件は2012年にずれ込む かもしれない」と語った。

ブルームバーグ・データによると、7月初め以降今月28日まで に完了したIPOの総額は300億ドルと、昨年の半分に満たない。こ のため今四半期のIPO総額は過去2年余りで最低となる見通しだ。

飲食店チェーンの米ダンキン・ブランズ・グループやオンライン 不動産情報サービスの米ジローは今四半期にIPOを完了し、株価は 少なくとも40%上昇している一方で、ブルームバーグ・データによれ ば、今年の世界の新規公開株の半数以上はIPO価格を割り込んでい る。

アイプレオによれば、9月20日時点でIPOを計画している企 業は世界全体で366社と、MSCI世界指数が2009年に13年ぶりの 安値を付けた後の案件数のほぼ2倍。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)のグローバル株式資本市場責 任者、ダン・カミングス氏は「株式相場が最近何度も急落して押し下 げられているため、新規公開株に対して投資家が受け入れるバリュエ ーション(株価評価)も下がった」と述べ、「IPOを進めたい発行 体企業は、より控えめなバリュエーションかIPOの規模縮小かで折 り合いを付けることになりかねない」と指摘した。