米ソリンドラの「夢の跡」、7億ドルの工場はロボットやシャワー完備

米太陽光パネルメーカー、ソリ ンドラが2009年9月、米カリフォルニア州フレモントの州間高速道路 880号線沿いで建設を始めたガラスと金属製のビルは、シリコンバレー 近郊でここ数年見掛けなかった建物だった。つまり、新しい工場だ。

それは他の工場とは違っていた。5億3500万ドル(現在のレート で約410億円)に上る米政府の融資保証を含め推計7億3300万ドルを かけて完成したこの工場は面積30万平方フィートと、フットボール 場5個分に相当する広さだ。ディズニー音楽を口ずさむロボットや水温 が表示される液晶ディスプレー付きの温泉のようなシャワー、ガラス張 りの会議室などが完備されていた。

ソリンドラで施設管理担当者の1人として勤務していたサンノゼ在 住のジョン・ピアス氏(54)はインタビューで「新しいビルはタージマ ハルのようだ」と、インドで17世紀に建設された墓廟になぞらえる。

ソリンドラの受注量をはるかに超える太陽光パネルを製造するため に設計されたこのビルは現在閉鎖されており、米国の納税者がそのつけ を支払わされる可能性がある。

ソリンドラは6日に連邦破産法11条に基づく会社更生手続きの適 用を申請。議会や連邦捜査局(FBI)が調査を開始し、共和党は同社 に融資保証を行ったオバマ政権の政治姿勢を問題にしている。約1100 人が失業した。

ブリガンチン・アドバイザーズの太陽光発電業界アナリスト、ラメ シュ・ミスラ氏(ロサンゼルス在勤)は、事後調査が進められる中、こ の工場は資金の無駄遣いと、ベンチャー企業をかき立てた「フィール ド・オブ・ドリームス」の精神の象徴としてそこに立っていると語 る。フィールド・オブ・ドリームスは野球を題材に夢や希望を描いた 1989年の米映画だ。

円筒型モジュール

ミスラ氏は「需要がなければ、『建設すれば注文が来るだろう』と いうような姿勢で参入することはできない」と指摘。「建設する際には 顧客が既に存在することを確かめなければならない」と話す。

ソリンドラは工場の起工式の際に発表した報道資料で、20億ドル 相当の商業向け屋根用円筒型ソーラーモジュールの「バックログ(受注 残高)」を抱えていると発表した。このモジュールは、競合するフラッ トパネルと比較して設置費用が割安で効率性が高いとの触れ込みだっ た。この発表に対してミスラ氏は懐疑的だ。「バックログ」という言葉 はこの業界で時折大まかな意味で使われ、確定受注を表していない可 能性があると指摘する。

ソリンドラの広報担当者、デービッド・ミラー氏にコメントを求 める電話をかけ、電子メールを送付したが応答はなかった。

ソリンドラは、スタンフォード大学で半導体加工の博士号を取得し 半導体製造装置大手の米アプライド・マテリアルズの幹部を11年間に わたって務めた創業者、クリス・グロネット氏の夢の結晶だった。同氏 の社訓は「ここでわが社が取り組んでいることがいつか世界を変えるだ ろう」。グロネット氏にコメントを求める電話をかけたが、回答は得ら れていない。