円が対ドル76円半ばで底堅い、欧州債務危機や米景気懸念でリスク回避

東京外国為替市場では、円が対ド ルで1ドル=76円台半ば近辺を中心に底堅く推移した。欧州の債務問 題や米景気の先行き懸念など海外の不透明要因がくすぶる中、投資家の リスク回避姿勢が根強く、円買い圧力が戻った。

円は前日の海外時間に対ドルで一時76円93銭と3営業日ぶりの 安値を付けていたが、この日の東京市場では朝方に付けた76円88銭 を下値にじり高に展開。午前に一時76円47銭まで上昇したあと、午 後にかけて強含みの展開が続き、午後3時30分現在は76円50銭近辺 で取引されている。

前日の海外市場で1ユーロ=104円96銭と、4営業日ぶりの円安 値を付けていたユーロ・円相場も正午過ぎに一時103円69銭まで円が 値を戻し、その後も103円台後半で推移した。

大和証券債券部為替課の亀岡裕次担当部長は、この日は国内の半期 末に絡む実需のドル売りがドル・円相場の上値を抑えたと説明。その上 で、欧州では財政問題に絡んで様々なセーフティネット(安全網)を整 えている段階にあり、米景気の状況もはっきりしない中で、「本格的な リスク選好の状態ではない」と指摘する。

ギリシャ問題に一喜一憂

支援獲得に向けて財政再建を進めるギリシャでは、27日に新たな 固定資産税導入をめぐる議会採決で承認を獲得。また、欧州金融安定フ ァシリティー(EFSF)を拡充する法案も承認された。

国際通貨基金(IMF)と欧州連合(EU)、欧州中央銀行(EC B)のいわゆるトロイカの当局者らで構成する代表団が28日か29日 にアテネに戻る見通し。

みずほ総合研究所の武内浩二シニアエコノミストは、今後の支援獲 得に向けて、ギリシャが財政再建を着実に進めていくことが大事だが、 国内では緊縮策への反対運動が強まるなど、政治的なリスクもはらんで いると指摘。欧州の問題が世界の景気にマイナスの影響を与える可能性 がある中、米国を中心に景気の後退リスクが警戒されており、「将来の 不確実性を意識すると、投資家としてはリスクを取りにくい」としてい る。

ドイツでは、29日にEFSF拡充案に関する議会採決が行われる が、メルケル首相は27日に、連立与党議員の過半数が賛成票を投じる と依然確信しているとの見解を示している。

27日には、メルケル首相がギリシャのパパンドレウ首相とベルリ ンで行った会談後の共同記者会見で、ギリシャは目標達成を目指してお り、ドイツはそれを助ける用意があると発言。これを受け米株式相場は ダウ工業株30種平均が一時300ドルを超える大幅高となり、株価の予 想変動率の指標であるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラテ ィリティ指数(VIX指数)は4営業日ぶりの水準まで低下していた。

外為どっとコム総合研究所の植野大作主席研究員は、「ユーロに関 してはギリシャ債務問題の交渉のてん末をめぐって、基本的には一喜一 憂しながら非常に揺れている状態が続いている」と指摘している。

前日の海外市場で一時1ユーロ=1.3669ドルと、4営業日ぶりの 高値を付けたユーロ・ドル相場は、この日の東京市場で1.3542ドルま で水準を切り下げる場面も見られた。

米景気対策に「手詰まり感」も

一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は21日の連邦公開市場委 員会(FOMC)で、長期金利の抑制を通じた景気浮揚を目指して、短 期債から長期債への乗り換える「オペレーション・ツイスト(ツイスト オペ)」の実施を決定したものの、その効果について懐疑的な見方も出 ている。

ダラス連銀のフィッシャー総裁は27日、ダラスでの講演で、ツイ ストオペについて、「戦略的決定であり、私は効果が代償に勝るとは感 じなかった」と指摘。過剰なリスクテークを促すだけでなく、適切な財 政・規制政策が伴わなければ「効果は出ない」のではないかと問いかけ た。

また、アトランタ連銀のロックハート総裁も27日のフロリダ州ジ ャクソンビルでの講演で、「金融政策を伝達するメカニズムは、その機 能を幾分か失っている状態だ。従って、FOMCの最新の決定が景気に 大きな押し上げ効果をもたらすとは期待していない」と述べ、「今回の プログラムによる効果は小さいと見込むほうが現実的だ」との見解を示 している。

みずほ総研の武内氏は、FOMCが打ち出した今回の政策は先行き に与える影響が限定的な可能性があり、オバマ大統領が打ち出した景気 対策も議会の承認が難航する見通しだとして、「手詰まり感が強い中、 ずるずると景気が悪化していく可能性がある」と説明している。

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