欧州連合(EU)は2014年 の導入に向けた金融取引税を提案した。これによる税収は年間約 570億ユーロ(約6兆円)が見込まれる。

提案はEU加盟27カ国内での金融取引について最低税率を設定 する内容。EUの行政執行機関である欧州委員会が28日公表した。 株と債券の取引については0.1%、デリバティブ(金融派生商品) 取引には0.01%の税率が提案されている。

金融取引税についてはEU加盟国内で意見が分かれている。英財 務省は28日に声明を出し、金融取引に課税する場合は世界的に適用 する必要があるとした上で「対処すべき現実的な問題が多い」と指摘 した。ベルギーのレインデルス財務相とスペインのサルガド財務相は 17日に、全世界やEUでの導入が難しければユーロ圏の政府で独自 の導入を考えてもよいと述べていた。

欧州委員会のシェメタ委員(税制・関税同盟・会計検査・不正対 策担当)はこの日、フランスのストラスブールで記者会見し、「提案 には明らかに英国にとっての利点もある」と述べ、財政健全化に取り 組む各国にとって税収増はプラスだと指摘した。

取引税は銀行や投資会社、保険会社、年金基金、株式ブローカー、 ヘッジファンドなどの金融機関に課される。外国為替のスポット市場 は課税の対象から外れるが、通貨デリバティブは対象になるという。

「金融セクターからの公正な貢献」

欧州中央銀行(ECB)など中銀との取引も課税されない。入札 を含め国債や社債の「発行市場」も除外される。

発表資料によると、「税は金融機関同士の取引の85%を対象と することを目指す」一方、家計や中小企業は影響を受けないようにす る方針で、金融機関は例えば1万ユーロの株売買について10ユーロ 程度の「過剰でない」手数料を課すことができるという。

欧州委は発表文で、取引税は政府が「財政再建に取り組む時期に 金融セクターからの公正な貢献を確実にする」と説明した。EU加盟 国が欧州委の案について協議した後、欧州委は11月の20カ国・地 域(G20)首脳会議に新税導入案を提出する。

欧州委が提案とともに公表した影響査定結果によると、同案は長 期的に国内総生産(GDP)の0.5%相当のマイナスの影響をもた らす。高頻度取引や自動取引などの市場の行動や金融業界のビジネス モデルに影響するとしている。

「銀行はコスト増を顧客に転嫁へ」

欧州委のバローゾ委員長はストラスブールの欧州議会で提案につ いて発表し、「今度は金融セクターが社会に貢献するべき時だ」と述 べた。

一方、ケーブル英民間企業相は28日のブルームバーグテレビジ ョンとのインタビューで、金融取引税の導入を英国に強制することは できないと述べた。

金融取引税は2010年にも提案されたが、当時は加盟国の同意を 得られなかった。金融業界は銀行が税負担によるコスト増を顧客に転 嫁するため、取引税が実体経済に影響すると主張している。

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