米国はカナダ産オイルサンドからの抽出原油歓迎を、供給確保へ-社説

カナダのアルバータ州から米メキ シコ湾に原油を輸送する全長1700マイル(約2740キロメートル)の 「キーストーンXLパイプライン」に関し、カナダのトランスカナダに よる建設を米国が認可するのは一見、間違っているように思える。

やはり、このようなパイプラインが原油漏れを起こしたら、米ネブ ラスカ州サンドヒルズの地下にあるオガララ帯水層が汚染されるかもし れない。この帯水層は同州の飲料水の約8割を供給している。

それどころか、パイプラインの新設は、加アルバータ州にあるアサ バスカ・オイルサンドの開発を一段と促進するだけのようにも思え る。明らかにこれは「ダーティー・ビジネス」(汚染につながる事業) だ。

露天掘り鉱床への道路を建設するために広大なトウヒやモミなど常 緑樹の森が切り倒される。鉱床からは粘り気のある黒い砂が掘り出さ れ、粘性のタールが抽出される。地下深い鉱床では、数百フィートの地 中に蒸気を注入し地表への吸い上げが可能な状態になるまでタールを溶 かす。カナダのオイルサンド採掘に伴って二酸化炭素(CO2)も排出 される。オイルサンド採掘の際に排出されるCO2などの温暖化ガスの 量は、サウジアラビアやテキサス州西部での原油掘削による排出量の

2.5倍とされている。

従って、キーストーンXLパイプライン建設を認可する権限のある 米国務省は、単純に「ノー」と言うべきなのかもしれない。これが今 週、グレートプレーンズ(米中西部の大平原)の各州で開かれている一 連の公聴会で多くの市民や環境保護団体が議論しているテーマだ。

石油と雇用

ただ、詳しく検討してみると、70億ドル(約5300億円)規模の パイプライン建設を阻止するのは益よりも害になることが分かる。ま ず、カナダのオイルサンドには採掘可能な原油が1730億バレル以上含 まれており、サウジの2640億バレルに次ぎ世界で2番目に多い。オイ ルサンドからの原油抽出関連事業によりカナダで創出される雇用は約 50万人と推計され、カナダと米国両国は非友好的な政府に邪魔される ことなく大量の原油供給を確保することができる。

パイプライン建設反対派は、米国がカナダ産原油を購入しなければ 企業のオイルサンド開発意欲が低下すると主張する。しかし、これらの 原油が他地域へ販売できないと仮定するのは非現実的だ。現時点の事業 計画では、原油の大半に当たる日量約70万バレルがキーストーンXL を通じて南部に輸送されることになっている。米国がパイプライン建設 を阻止すれば、カナダ西岸に向けて別のパイプラインが建設されると予 想するのが妥当だ。原油はそこからタンカーで中国などの国々に運搬さ れる可能性がある。

安全性の問題

キーストーンXLが米国の6州を通過するのを認可するかどうか決 定する際、唯一問題になるのは安全性だ。米国務省は米環境保護局(E PA)の支援を受け、リスクについて調査している。そして、トランス カナダが全ての法律と規制を順守してキーストーンXLを建設し安全に 操業するかぎり(ただ小規模な原油漏れは予想されるかもしれない)、 このパイプラインは湿地帯や水供給、輸送経路で生息する野生動物に 「大きな影響を及ぼさない見込みである」と判断した。

米国では原油や天然ガスなどを輸送する数千マイルのパイプライン があちこちで交差していることを覚えておく必要がある。このうちの1 つは「キーストーン1パイプライン」で、既にオイルサンドから抽出さ れた原油を運搬している。確かに、これらのパイプラインでは時に原油 漏れが発生する。昨年にはミシガン州で破裂したパイプから約85万ガ ロンが流出した。ただ、流出事故が発生した場合、小規模で内部的に制 御できる場合がずっと多い。

一連の公聴会が終了したら、米国はトランスカナダに認可を与える べきだ。その上で、同社がパイプラインの設計と建設を慎重に進めてい ることを確認するべきではないだろうか。

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