米SEC、S&Pに法的措置も-07年の債務担保証券格付けめぐり

米国で住宅ローンのデフォルト(債 務不履行)急増が始まってから4年後の今、住宅ローン担保証券(M BS)を年金基金や寄付基金にとって安全な投資対象だと格付け会社 が見なしてきた問題をめぐり、監督当局が初の法的措置を準備してい る可能性がある。

格付け最大手のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、 2007年に最上級格付けを付与した16億ドル(約1200億円)相当の債 務担保証券(CDO)に関連し、米証券取引委員会(SEC)から民 事訴追を受ける可能性がある。S&Pの親会社、米マグロウヒルが26 日、SECからいわゆる「ウェルズ・ノーティス」を受け取ったこと を当局への届け出で明らかにした。このCDOは6カ月後には格下げ されていた。マグロウヒルは、ウェルズ・ノーティスは正式な申し立 てでも不正行為の判明でもないとコメントした。

R&Rコンサルティング(ニューヨーク)のプリンシパル、シル ベーン・レインズ氏は、SECの対応は「遅過ぎる。07年にすべきだ った」と指摘した上で、「これは単に情報を探るだけのものではない。 格付け業界の一新を担う極めて真剣なものだ」と述べた。同氏は、ム ーディーズ・インベスターズ・サービスの元アナリスト。

S&Pやムーディーズ、フィッチ・レーティングなど格付け各社 は、議会や投資家から金融危機につながるリスクを特定できなかった と批判にさらされた。当局は格付け会社と格付けプロセスの監督を強 化したものの、格付け会社に対する制裁はこれまでのところなかった。

「顕著な例」

ニューヨークのコンサルティング会社PF2セキュリティーズ・ エバリュエーションズのディレクター、ジーン・フィリップス氏は、 サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン市場の弱さは07年 までに明らかになっていたと指摘、「誰もがゲームはそれよりずっと前 に終わっていたと知っていた。銀行はバランスシートをきれいにする ため取引を積極的に進めていた」と語った。

SECは、米上院の金融危機に関する報告書でも「顕著な例」と して取り上げられた「デルフィナスCDO2007-1」に関連する手数料 の返還などのペナルティーをS&Pに科すよう求める可能性がある。 このCDOは、同社のほかムーディーズとフィッチも格付けしている。 ムーディーズとフィッチの広報担当によれば、両社はウェルズ・ノー ティスを受け取っていない。

上院常設調査小委員会が今年4月に公表した報告書によれば、S &PはデルフィナスCDOの6つの部分を07年8月に「AAA」と格 付けし、同年末までに格下げを開始。08年末までにはジャンク(投資 不適格)級に格下げされたという。

みずほ

フィッチのリポートによれば、みずほフィナンシャルグループ(F G)が引き受けデラウェア・アセット・アドバイザーズが運用したデ ルフィナスCDOは、約4分の3がサブプライム住宅ローンを基にし ていた。

みずほは、住宅相場が急落し始める06年後半と07年に米MBS 関連の業務を活発化。サブプライム住宅ローンのデフォルト急増で、 みずほは価値が急落したCDOの買い手を探すのに苦戦し、損失吸収 を余儀なくされたという。

みずほでこの取引を扱い、現在はニューヨークのグッゲンハイ ム・セキュリティーズで働くアレクサンダー・レケダ氏にコメントを 求める電子メールと電話による取材を試みたが、回答はない。みずほ の広報担当、塩野雅子氏にも営業時間外に電子メールを送ったが、こ れまでのところコメントは得られていない。