ドルと円が対ユーロで下落、株高でリスク回避緩和-欧州危機対応期待

東京外国為替市場ではドルと円が ユーロに対して、じり安となった。欧州の債務危機対応への期待から世 界的に株価が上昇。リスク回避の流れが弱まるなか、ユーロや高金利通 貨の下落に一服感が広がり、これまで逃避通貨として買われていたドル や円には売り圧力がかかった。

一方、ドル・円相場は1ドル=76円前半で小動き。半期末が接近 し、円を買い遅れた国内輸出企業の動向が警戒された半面、8月に付け た円の戦後最高値(75円95銭)が意識される中、円売り介入への警 戒感も強く、上下ともに動きづらい展開が続いた。

シティバンク銀行個人金融部門リテール・プロダクト本部為替市場 調査の尾河真樹シニアマーケットアナリストは、「きのうの米国株も上 がっているし、若干ポジティブ志向になっている」と指摘。「今のマー ケットはユーロ圏一色で、ユーロがどうかというところで一喜一憂して いる」と解説した。

ドルは対ユーロで一時、1ユーロ=1.3570ドルまで下落。朝方に は1.34ドル後半まで買われる場面も見られたが、アジア株が堅調に推 移するなか、じりじりと上値を切り下げる展開となった。円も対ユーロ で一時、1ユーロ=102円後半へ上昇したが、その後反落し、午後には 一時103円63銭まで値を下げた。

欧州の債務危機対応

ユーロ圏の中央銀行の当局者は、欧州中央銀行(ECB)が来週開 催する10月の政策委員会で、カバード債の購入再開を協議する公算が 大きいことを明らかにした。1年物資金供給オペの再開も検討する。現 時点では議題に含まれていないものの、利下げも協議される公算が大き いという。

一方、BBC放送(電子版)は、欧州各国政府によるユーロ圏高債 務国の大掛かりな救済策の概要が具体化しつつあり、これにはギリシャ 債務の50%減免が含まれる見通しだ、と国際通貨基金(IMF)から のリポートの内容に言及して報じた。新たな救済策は救済基金の規模を 2兆ユーロに拡大することも想定、各国政府は5-6週間以内の合意を 目指しているという。

27日の東京株式相場は3営業日ぶりに反発。欧州政策当局が追加 金融緩和措置を講じるとの観測から、過度な世界景気、金融システムへ の不安が後退した。アジア株も軒並み上昇。前日の米ダウ工業株30種 平均はここ1カ月で最大の値上がりとなり、投資家の不安心理を移すシ カゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ・インデックス (VIX)は前日から低下した。

JPモルガン・チェース銀行債券為替調査部の棚瀬順哉チーフFX ストラテジストは、「きのうはアジア株全面安のなかでリスクオフ(回 避)になったのでドルと円が買われたが、その後の欧米時間はEFSF (欧州安定ファシリティー)拡大の話などもあり、株が上昇し、リスク オン(選好)になった」と説明。その上で、この日はギリシャでの増税 案の議決などが予定されているが、こうしたイベントを大過なくこなせ ば、短期的には「リスクオンの流れがもう少し続いてしまう可能性はあ る」と話した。

もっとも、棚瀬氏は、欧州債務問題について「中長期的には相変わ らず不透明感が強いし、懸念が高まりリスク回避姿勢が強まり、株が売 られるといった流れになっていく方向に傾いている状況自体はそれほど 変わっていない」と指摘する。

シティバンク銀の尾河氏も、29日に実施されるドイツ議会のEF SF拡充案の採決も可決の可能性が高いが、「EFSFうんぬんでギリ シャの債務不履行が防げるわけではない」と言い、ユーロの反発は一時 的に終わってしまう可能性の方が高いと予想。さらに「にわかにECB の利下げ期待も出てきており、きのうは好材料と言われていたが、通貨 にしてみれば金利を下げる話は下押し要因になる」と語った。

ギリシャのパパンドレウ首相はベルリンで、現地時間27日午後8 時にメルケル独首相とのワーキングディナーに臨む。ギリシャではこの 日、欧州連合(EU)とIMFからの次回融資を確保しデフォルト(債 務不履行)を回避する上で鍵となる不動産税導入をめぐる議会採決が行 われる。

介入警戒

安住淳財務相は27日午前の閣議後会見で、「投機的な動きを含め て過度な円高は復興からかなり力強い回復へ動き出した経済の足を引っ 張りかねない」と述べた上で、「市場を注視しながら必要なら断固たる 措置を取っていきたい」と語り、為替介入も辞さない構えを示した。

ドル・円相場は早朝に1ドル=76円55銭を付けた後、一時76円 27銭まで円買いが進行。しかし、円買いも続かず、午後にかけては76 円30銭台を中心にもみ合った。

三菱東京UFJ銀行の米州金融市場部マーケティンググループのマ ネジングディレクター、村尾典昭氏(ニューヨーク在勤)は、「76円 に近付くと介入警戒感が引き続き残っているので、なかなか76円から 一気に下を攻める感じでもない。かといってそれほど楽観的にドル・円 がどんどん買われているような地合いでもない」と話していた。

政府はこの日、先に公表した円高対策の一部について、第3次補正 予算の成立を待たず、可能なものから先行実施すると発表した。具体的 には、円高に伴う事業規模の縮小で社員を休業させる企業に対し手当て の一部を支援する「雇用調整助成金」の適用要件を緩和。また、今年9 月に期限切れとなる中小企業向け信用保証を来年3月末までに延長する ほか、外国為替資金特別会計のドル資金を活用した海外でのM&A(企 業の合併・買収)促進策も早期に実行する。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE