FRB議長のツイストオペ、米財務省の長期債発行で効果薄か

バーナンキ米連邦準備制度理事会 (FRB)議長とガイトナー米財務長官は米国債の買い手と売り手と いう相いれない立場にあるようだ。

FRBは期間が長めの国債4000億ドル(約30兆円)を購入して 利回りの押し下げを図る計画だ。一方の財務省は、短期借り入れへの 依存度を低下させるため、長期債の発行を増やしており、こうした戦 略は市場の供給を増やすため金利に上昇圧力をかける。

両者のアプローチがかみ合わない理由はこうだ。ガイトナー長官 は毎月借り換えねばならない債務の額を減らしたい考えで、米国は8 月にデフォルト(債務不履行)寸前の状況に陥った後だけに、より喫 緊の課題となっている。バーナンキ議長は減速する米経済が日本のよ うな「失われた10年」に陥る事態を回避しようとしている。

ライトソンのチーフエコノミスト、ルイス・クランドール氏は「F RBは米国が日本になるのを懸念している一方、財務省は米国がギリ シャになるのを心配している」と指摘する。

その結果、FRBの行動が長期金利と米経済に「かなり限られた 影響」しか及ぼさない恐れがあると、米カリフォルニア大学サンディ エゴ校のジェームズ・ハミルトン教授(経済学)は分析する。同教授 は「米経済に関しては急激に根本的な変化が起こるという幻想を抱く べきではない」と話す。

4000億ドル

FRBは今月21日、2012年6月末までに残存期間6-30年の国 債4000億ドル相当を購入する一方で、期間3年以下の国債を同額売却 する方針を表明した。

30年物米国債利回りは23日に2.90%と、発表前日の3.2%から 低下。1週間の金利低下幅は41ベーシスポイント(bp、1bp=

0.01%)と2008年12月以来最大を記録した。

クランドール氏によると、債券投資家は既に財務省による発行を 予想していてFRBの動きや世界経済の減速懸念の高まりに反応した という。財務省の発行計画がなければ利回りはさらに低下した可能性 もあると、ハミルトン氏は述べた。

ガイトナー長官の下で財務省は期間が長めの国債の比重を高め、 米国債の平均償還年限を2009年1-3月(第1四半期)の49.4カ月 から今年4-6月(第2四半期)には62カ月に長期化している。財務 省は21日のFRBの決定を受け、「われわれの年来の債務管理政策は、 長期的に可能な限り最も低いコストで米政府に必要な資金を賄うこと であり、こうした政策に変更はない」との見解を表明している。