【今週の債券】長期金利は0.9%台定着へ、欧州不安や景気悪化で需要

今週の債券市場で長期金利は今年 最低水準の0.9%台が定着するとの見方が出ている。欧州の債務問題 が米国をはじめ世界経済に悪影響を及ぼすとの見方が広がっており、 投資家の債券購入意欲が根強いとみられることが背景にある。

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、今週の長期 金利について「0.9%台で徐々に定着する」とみる。「米国経済の下振 れ懸念や欧州の債務問題が根強く、世界的にリスク回避の運用姿勢が 続く見通し。これまで慎重に構えていた投資家が多いだけに、中間期 末に向けた残高積み上げの要請もある」と説明した。

長期金利の指標とされる新発10年債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが前週末に市場参加者3人から聞いた今週の予想レン ジは、全体で0.93%から1.02%となった。前週末の終値は0.98%。

前週は3連休の谷間で3営業日だけだったが、長期金利は節目の 1%を下回って推移した。20、21日開催の米連邦公開市場委員会(F OMC)の声明で、米国債の年限を長期化する「ツイストオペ」の導 入を発表したことを受け、米長期金利が過去最低を更新。日本の長期 金利も22日に一時0.965%と、昨年11月9日以来の低水準を付けた。

景気下振れリスク

世界経済の先行き不透明感が強く、投資家の潜在需要が強いとみ られていることが金利の低下要因。前週の米FOMCの声明では、欧 州問題などを背景に「景気見通しに対しては著しい下振れリスクが存 在し、これには世界の金融市場における緊張が含まれる」と記述。ま た、国際通貨基金(IMF)は欧州の債務危機は域内の銀行に対し最 大で3000億ユーロ(約31兆3000億円)の信用リスクを生じさせたと 試算した。三井住友海上きらめき生命保険経理財務部の堀川真一部長 は「ギリシャなど欧州債務問題は引き続き支援材料」と言う。

一方、長期金利の1%割れの水準を買い進むことに警戒感も根強 い。来週10月4日には重要な需給イベントとされる10年国債入札が 控えている。また、昨年10月6、7日に約7年ぶり低水準となる0.82% を付けたが、その後は上昇が続いて2カ月後には1.295%まで急反転 した経緯もある。さらに今後の国債増発による需給悪化懸念もくすぶ る。民主党の前原誠司政調会長は、東日本大震災の復興費などを盛り 込む今年度第3次補正予算を上積みする方針を示した。政府が提示し た規模が11兆円程度であることを明らかにした上で、予算を追加する 余地を示した。

もっとも、米国市場では30年債利回りが3%の大台を割り込み、 日本の20年や30年債利回りはともに今年最低を更新するなど、日米 で利回り曲線のフラットニング(平たん化)が進展。SMBC日興証 券の野地慎シニア債券為替ストラテジストは、「超長期ゾーンがフラッ ト化する中で、10年債の0.95%割れには抵抗感が薄れている。当面の 上限は1%とみて良いのではないか」と話した。

2年債入札、「波乱ない」との声

27日に2年利付国債(10月発行)の入札が実施される。米国では 前週に追加緩和策を決めており、日銀による追加緩和観測が根強いこ とから、無難な結果が見込まれている。三井住友海上きらめき生命の 堀川氏は「金融機関の資金は潤沢なため、波乱なく通過すると思う」 と言う。

前週末の入札前取引では0.135%付近で推移しており、新発2年 債の表面利率(クーポン)は前回債と横ばいの0.1%が予想されてい る。発行額は前回債と同額の2兆6000億円程度。

新発2年債利回りは、今月初めは0.14%付近で推移していたが、 21日に円相場が1ドル=76円12銭と8月半ばに記録した戦後最高値 (75円95銭)に接近すると追加緩和観測が強まって、同日には約1 カ月ぶり低水準となる0.125%を付けた。

市場参加者の予想レンジとコメント

22日夕までに集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の 通り。先物は中心限月12月物、新発10年国債利回りは317回債。

◎三井住友海上きらめき生命保険経理財務部の堀川真一部長

先物12月物142円00銭-143円20銭

新発10年債利回り=0.95%-1.02%

「9月決算期末を迎えるので株価次第だが、利益確定の売りで上 値の重い展開。ギリシャなど欧州債務問題は引き続き支援材料。2年 債入札は、金融機関の資金は潤沢なため、波乱なく通過すると思う。 鉱工業生産など月次の経済統計発表が予定されているが、来週に短観 (企業短期経済観測調査)を控えており、反応は限定的とみている」

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物12月物142円30銭-143円10銭

新発10年債利回り=0.94%-1.00%

「長期金利は0.9%台で徐々に定着。米国経済の下振れ懸念や欧 州の債務問題が根強く、世界的にリスク回避の運用姿勢が続く見通し。 これまで慎重に構えていた投資家が多いだけに、中間期末に向けた残 高積み上げの要請もある。前週末に超長期ゾーンの金利水準が切り下 がったものの、米国と同様にフラット化余地を探りそうだ」

◎SMBC日興証券の野地慎シニア債券為替ストラテジスト

先物12月物142円40銭-143円20銭

新発10年債利回り=0.93%-1.00%

「期末で動きづらいが、どちらかと言えば金利は下振れする可能 性が高い。海外金利低下で相対的に日本国債の魅力が高まっている。 先週末の中長期債は株安に伴う決算対策の売りが出ていたとみられ、 投資家は債券残高を復元する買い余力が非常に大きい。来週の10年債 入札まで待ちたくても海外要因で先物の買いが先行すれば、慌てて動 かざるを得なくなる」

--取材協力:赤間信行、池田祐美、船曳三郎 Editors:Masaru Aoki,Takeshi Awaji

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