【日本株週間展望】欧米懸念で上値重い、配当落ちも-内需には評価

9月第4週(26-30日)の日本株 相場は、上値の重い展開となりそうだ。内需の相対的な底堅さや投資 指標面の割安さを評価した買いは入るとみられるが、欧州財政問題と 米国経済の先行き不透明感から投資家のリスク許容度はなお高まりに くい。9月末を控え、配当権利落ちによるマイナスの影響もある。

BNPパリバ・インベストメント・パートナーズの清川鉉徳執行 役員は、最も警戒されている欧州債務危機問題について、「現状で想定 され得る悪材料をマーケットはすでに相当織り込んでいる」との見方 を示す。「先進国で日本だけがマクロ経済や企業業績のモメンタム(勢 い)が上向きであることを考えると、本来的には買い向かう局面」と したが、9月期末を控えて機関投資家は大きく動けないという。

連休の谷間で、営業日数が3日と少なかった第3週の日経平均株 価 は、前週末比303円(3.4%)安と反落。週初には、欧州財務相会 合で域内の債務問題克服に向けた具体策が乏しかったことへの失望や、 米格付け会社によるイタリアの格下げを嫌気。米中経済の先行き懸念、 円高・ユーロ安進行への懸念も加わり、週末には売りが加速した。

国際通貨基金(IMF)は20日、2011、12年の世界経済の成長 率見通しをともに4%に改定した。前回6月の予測からそれぞれ0.3 ポイント、0.5ポイントの下方修正。主要7カ国(G7)では、日本 だけが上向きに改定され、6月時点のマイナス0.7%からマイナス

0.5%に修正された。来年はプラス2.3%。6月時点よりも0.6ポイン ト引き下げられたが、成長率予測の伸びは日本が欧米をしのぐ。

企業利益は円高こなし増益へ、復興需要も

企業収益面では、3・9月決算企業の期末を迎えて業績修正が出 やすい時期に差し掛かる。欧米を中心とした外需の減少が警戒される 中、為替市場での円高進行も重なり、ハイテクや自動車など輸出関連 企業の間では業績下方修正の発表が出てくる可能性がある。ただ、ブ ルームバーグ・データによると、日経平均構成銘柄(最終赤字企業を 除く)のアナリスト予想を加重平均した向こう12カ月間の平均EPS (1株当たり純利益)は、前期比14%増と増益が見込まれている。

22日の日経平均は8560円で終え、14日に付けた終値での年初来 安値(8518円)に接近。東洋証券の大塚竜太情報部長は、外部環境次 第で、安値更新はあり得るとしながらも、「財政出動による復興需要が 見込める日本経済は、欧米と比べ明らかに有利な状況にある」と話し ている。そのため、日本株が一段と下値を切り下げる展開は想定しづ らい、とした。

相場全体の下落余地が小さいとみられる要因の1つには、株価純 資産倍率(PBR)など割安さを示す投資指標の存在もある。ブルー ムバーグ・データによると、東証1部全銘柄の平均PBRは22日時点 で0.9倍。最近は、会計上の会社解散価値に当たる1倍割れが定着し ている。1倍を下回るPBRは理論上、市場が企業の赤字転落、純資 産(資本)の減少などを見込んでいることになるが、今後赤字企業が 続出するとみる市場関係者の声は現状聞かれていない。

トロイカ協調が欧州問題のカギ、米統計注視

もっとも、欧州の財政問題が「テールリスク」、つまり確率は小さ いが、発生すれば甚大な打撃を伴うリスクとなっているのは事実だ。 いちよし投資顧問の秋野充成運用部長は、欧州連合(EU)と国際通 貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)のトロイカが協調し、「欧 州の大手金融機関に公的資金を注入して救済することが決まるまでは、 欧州財政問題が国際金融システム危機に波及するとの不安は払しょく できない」と予想している。

株式市場の懸念材料は、欧州の財政・金融事情にとどまらない。 米連邦準備制度理事会(FRB)が20、21両日に開催した米連邦公開 市場委員会(FOMC)終了後の声明で、米景気について「著しい下 振れリスクがある」と指摘したことも投資家心理を冷やした。

第4週の米国では多くの経済指標の発表があり、注目される。26 日に8月のシカゴ連銀全米活動指数、新築住宅販売件数、27日に7月 のS&P/ケース・シラー住宅価格指数や9月の消費者信頼感指数、 28日に8月の耐久財受注、29日に8月の中古住宅販売成約、30日に は8月の個人支出・個人所得、9月のシカゴ購買部協会景気指数が公 表予定だ。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は、 8月の米新築住宅販売と耐久財受注がともに前月比1%減。大和証券 投資情報部の西村由美次長は、「米経済の弱さを示す指標が相次ぐと、 投資家のリスク許容度は戻らず、株買いの流れになりにくい」と読む。

配当落ち68円

27日は、3月決算企業の4-9月期の配当(中間配当)などの権 利付き最終売買日だ。翌日以降は、配当や株主優待を取得する権利を 得た投資家の売りが株価の押し下げ要因として警戒される。東芝と三 菱電機の総合電機大手2社が直近にそろって増配を決めるなど、下期 からの業績回復計画を背景に復配・増配銘柄が散見されるだけに、権 利落ちによるマイナスの影響も相場に響く可能性がある。ブルームバ ーグのデータによると、権利落ちが日経平均に与える影響は68円。

第4週に発表される国内の経済統計は、30日に8月の家計調査、 失業率、有効求人倍率、全国消費者物価、鉱工業生産、住宅着工など がある。このほか欧州では、26日に9月の独Ifo景気動向指数が発 表される。

【市場関係者の見方】 ●みずほ投信投資顧問の岡本佳久執行役員

日経平均は8400円から8800円のレンジで底値を固める動きにな ろう。米経済指標が短期間で大幅に下振れており、底が見えていない ことから投資家の不安心理は高まっている。欧州ではギリシャ国債の デフォルト(債務不履行)などによる金融機関の損失に対する支援に ついて、きちんとした枠組みができていない。当面はこれらの問題の 先行き不透明感が和らぐかどうか、が相場を見る上でのポイント。引 き続き8500円が抵抗線となり、その水準では下げ渋るだろう。

●シティグループ証券の阿部健児ストラテジスト

第4週は前半反発、その後はもみ合いを想定している。TOPI Xの想定レンジは740-760ポイント。FOMCでは今後の政策に関す るガイダンスが示されず、政策出尽くしへの誤解が米国株下落の一因 となった。しかし、バーナンキFRB議長は7月の議会証言で挙げた 選択肢を順に実行してきており、今後も量的緩和への期待は残る。株 価は下げ過ぎで、金融や輸出関連中心にその反動が予想される。その 後は世界経済の動向を見たいとし、レンジ内の動きに終始するだろう。

--取材協力:長谷川敏郎、岩本正明 Editor:Shintaro Inkyo

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