ドル買いが優勢、米短期債利回り上昇受け76円台後半-欧州問題を警戒

東京外国為替市場では、ドル・円 相場が1ドル=76円台後半でドルが底堅く推移した。米連邦準備制度 理事会(FRB)が20、21日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC) で、期間が短めの保有国債を長めの国債に乗り換える措置を決定した ことを受けて、短期債利回りの上昇を背景にドル買い優勢の展開とな った。

前日に一時76円12銭と、8月19日以来のドル安値を付けたド ル・円相場は、76円台半ば近辺でこの日の日本時間早朝の取引を開始。 市場では国内輸入企業のドル買い需要が多いとの指摘も聞かれ、午前 に一時76円97銭までドル高が進んだ。午後にかけては76円台後半で 底堅い推移が続き、午後3時45分現在は76円73銭付近で取引されて いる。

大和証券債券部為替課の亀岡裕次担当部長は、FOMCの結果を 受けて短期の金利が上昇したことがドル高につながっていると説明。 また、今回のFOMCでは、長期金利の抑制で住宅市場対策が打たれ たものの、「すぐに景気の回復に結び付くことは考えにくい」とし、株 式市場の下落を背景にリスク回避の側面もあり、「全体的にドルと円に 資金が集まる傾向が続く可能性がある」とみている。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)の ドル・インデックスはこの日のアジア時間に一時78.063と、2月22 日以来の水準まで上昇している。

米景気見通し、「著しい下振れリスク」

FRBは20、21両日に開催したFOMCで、来年6月にかけて残 存期間が6-30年の国債を4000億ドル購入し、期間が3年以内の国 債を同額売却することを決定。声明で「このプログラムにより長期金 利に低下圧力がかかり、広範囲な金融の状況がより緩和的になるのを 助けることになる」としている。

FOMCを受けて、前日の米国債市場では2年債利回りが上昇。 日本の同利回りとの格差は今月12日以来の水準に拡大している。

みずほコーポレート銀行の岩田浩二バイスプレジデント(ニュー ヨーク在勤)は、FOMCの結果について「マーケットのコンセンサ スよりも、長期のところが長めでかつ金額がコンセンサスよりもやや 大きい数字だった」と指摘。「為替は長期より短期金利に影響する」と して、今回の措置を受けた短期金利の上昇を受けて「ドルが買われる」 と説明している。

また、FOMC声明では景気見通しについて「著しい下振れリス クが存在し、これには世界の金融市場における緊張が含まれる」と指 摘。岩田氏は、FRBが景気に対してかなり悲観的な見方をしている として、株式市場に「悪影響」を及ぼしたと指摘。投資逃避的な動き につながった面もあるとしている。

ユーロが対円で10年ぶり安値更新

一方、ギリシャを中心とした欧州の債務問題がくすぶる中、米国 のワシントンではこの日から2日間の日程で、20カ国・地域(G20) 財務相・中央銀行総裁会議が開かれる。

欧州システミックリスク理事会(ESRB)は、21日の声明文で、 「ソブリン債リスク、欧州連合(EU)内銀行セクターでの資金調達 の脆弱(ぜいじゃく)さ、さらに世界とEU両方の成長見通しの悪化 が今後さらに負の循環をもたらす恐れがある。これが主なリスクだ」 と指摘。「あらゆる当局による迅速で断固たる行動が必要だ」と強調し た。

国債のデフォルト(債務不履行)リスクを抱えるギリシャ政府は 21日、国際通貨基金(IMF)などからの次回融資を得るため、財政 赤字削減策を加速し、公務員の給与と年金を削減すると発表した。

ギリシャ政府が財政再建に取り組む一方で、国内では財政緊縮策 に抗議して、公的部門最大の労組ギリシャ公務員連合(ADEDY) が民間最大のギリシャ労働総同盟(GSEE)とともに、10月に2度 の24時間ストを実施すると発表している。

みずほ総合研究所の武内浩二シニアエコノミストは、ギリシャの 短期的な資金繰りについては、ある程度維持されると思われるものの、 2次支援の行方については依然として不透明感が強いと指摘。「欧州の 債務問題が深刻化するリスクが残る中で、ユーロは弱含みやすい」と みている。

ユーロ・円相場はこの日の東京市場で一時1ユーロ=103円67銭 と、2001年6月以来の水準までユーロ安・円高が進行。ユーロ・ドル 相場も一時1ユーロ=1.3528ドルと、今月12日以来のユーロ安値を 付けている。

また、大和証の亀岡氏は、FOMCを通過して、再び欧州の債務 問題に市場の目が向きやすいとし、「懸念先行」でリスク回避の動きが 戻る展開もあり得ると予想。その上で、引き続き円高リスクは残って いるとしている。