FOMC:保有国債の残存期間を長期化-住宅関連証券も再投資

米連邦準備制度理事会(FRB) は20、21両日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に 声明を発表し、期間が短めの保有国債を長めの国債に乗り換える方針 を表明した。借り入れコストの一段の引き下げとリセッション(景気 後退)回避に向けた取り組みの一環。

FOMCの声明によると、金融当局は来年6月にかけて残存期間 が6-30年の国債を4000億ドル購入し、期間が3年以内の国債を 同額売却する。声明は「このプログラムにより長期金利に低下圧力が かかり、広範囲な金融の状況がより緩和的になるのを助けることにな る」としている。

バーナンキ議長は2会合連続で非伝統的な金融政策を拡大した。 今回の政策はエコノミストの間では「オペレーション・ツイスト」と 呼ばれ、米当局は1961年にも同じような行動を取ったことがある。 ツイストオペは利回りを押し下げ、共和党から昨年非難された貨幣創 出の再現を回避できる可能性がある。8月の会合で反対票を投じた同 じメンバー3人が再び反対に回った。

声明は「景気見通しに対しては著しい下振れリスクが存在し、こ れには世界の金融市場における緊張が含まれる」と記述している。

明確な時間軸を再表明

政策金利であるFF金利の誘導目標については、失業率が高止ま りしインフレ見通しが「落ち着いている」限り、少なくとも2013年 半ばまでゼロ近辺で維持する方針を再び表明した。FOMCは誘導目 標を2008年12月以降、ゼロから0.25%のレンジにとどめている。

FOMCは前回8月の会合で、09年3月から使っていた「長期 にわたり」という、期間を特定しない文言から「2013年半ばまで」 という表現に変更していた。

ヌビーン・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト兼投資 ストラテジスト、キース・ヘンバー氏は、この日発表された政策が経 済成長率を今後1年間に0.2-0.4ポイント押し上げるとの試算を 明らかにした。同氏はミネアポリス連銀でリサーチャーを務めていた。

同氏は量的緩和第3弾が見送られたのは、「量的緩和が始まった

昨年11月時点と比べインフレ率が高いからだろう」と指摘。さらに

「金融当局は現在、かなり身動きがとれなくなっている。何もでき な

い、あるいはできてもせいぜいこの程度だ」と語った。

MBS再投資

FOMCはこの日、「住宅ローン市場を支援する一助として」、 保有する政府機関債と政府機関発行の住宅ローン担保証券(MBS) の償還元本を米国債ではなく同MBSに再投資する方針も表明した。

金融当局が売却する国債は、期間3カ月から3年の保有国債の約 4分の3に相当する。10月分の購入および売却の詳細は9月30日 に発表する。この日発表したプログラムにより、保有米国債の平均残 存期間は現在の75カ月から2012年末までに100カ月(8年4カ 月)に拡大する。

コンサルティング会社、プレステージ・エコノミクス(テキサ ス州オースティン)のジェイソン・シェンカー社長はこの日の政策に ついて、「大規模な刺激効果を与える可能性は低い。市場の信頼感は 改善する必要があるが、この政策から改善することはない」と述べた。

FOMCはインフレについて「今年初めよりも緩やかになったも ようだ」と指摘した。食料とエネルギーを除くコアの個人消費支出 (PCE)物価指数は7月に1.6%上昇し、3月時点の1%上昇から 加速している。

ダラス連銀のフィッシャー総裁、フィラデルフィア連銀のプロッ サー総裁、ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁の3人が2会合連続 で反対票を投じた。声明によると、この3人は「現時点では追加の緩 和策を支持しない」と表明した。

保有証券の内訳

FRBの公開市場操作用口座、システム・オープン・マーケッ ト・アカウント(SOMA)の保有証券は14日現在で2兆6400億 ドル。そのうち米国債(短期債とインフレ連動債を含む)は1兆 6500億ドル、住宅ローン関連証券が9950億ドルとなっている。 FRBは2008年12月から09年6月にかけて量的緩和第2弾とし て2兆3000億ドルの証券を購入した。

ニューヨーク連銀のデータを基にブルームバーグが算出したとこ ろによると、FRBが保有する1兆5600億ドルの残存期間30年未 満の中長期国債のうち、2年未満の証券が19%を占め、2年以上・ 5年未満が35%、5年以上・10年未満が36%、10年以上・30年 未満(発行済み30年債を含む)が10%となっている。

ブルームバーグがエコノミスト42人を対象に実施した調査では、 金融当局が保有国債の残存期間の長期化に動くと予想した回答は 71%。ただ、その政策が失業減少にはつながらないとの回答も61% あった。

「ツイスト」

サンフランシスコ連銀のエコノミスト、エリック・スワンソン氏 が3月14日に発表したリポートによると、1961年に実施されたオ ペレーション・ツイストはチャビー・チェッカーのヒット曲「ツイス ト」から名称を得た。その際は長期債利回りの15ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)低下にとどまったっという。