貿易収支は3カ月ぶりの赤字、LNG輸入急増-輸出は半年ぶり増

8月の日本の貿易収支は3カ月ぶ りに赤字に転じた。東日本大震災で寸断されたサプライチェーン(供 給網)復旧に伴う生産活動の回復で、輸出額が6カ月ぶりに前年比で 増加に転じたものの、液化天然ガス(LNG)など発電用の燃料需要 増加や原粗油の価格上昇により輸入額が上回った。

財務省が21日発表した8月の貿易統計速報(通関ベース)による と、輸出額は前年同月比2.8%増の5兆3575億円。輸入額は同19.2% 増の6兆1328億円だった。この結果、貿易収支(原数値)は7753億 円の赤字となった。8月としては、比較可能な1979年1月以降で最大 の赤字額。

ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査では貿易収支は 3000億円の赤字を予想。輸出額は前年同月比8.0%増、輸入額は同

14.3%増だった。

輸出の内訳は、自動車が前年同月比5.3%増と6カ月ぶりに増加 に転じたほか、船舶が同35.2%増、金属加工機械が同29.2%増と好調 だった。輸入は火力発電向けの液化天然ガス(LNG)が同55.7%増 と大幅に増加し、数量・金額ベースともに過去最大を記録した。原粗 油も同39.9%増だった。

輸出を地域別でみると、自動車が増加に転じた米国向けが前年同 月比3.5%増、アジア向けが有機化合物を中心に同0.4%増といずれも 6カ月ぶりの増。中国向けは自動車の部分品や有機化合物などが伸び、 同2.4%増と2カ月ぶりに増加した。欧州連合(EU)向けは同6% 増と3カ月連続で増えた。

みずほ総合研究所の大塚哲洋エコノミストは16日付のリポート で、「自動車メーカー各社が夏休み返上で生産を行い、輸出は前年比で 増加する」と指摘。半面、輸入額も、原油価格の上昇や液化天然ガス の増加で前年を大幅に上回ることから、貿易収支は赤字に転じると予 想していた。

貿易赤字は「輸入増加型」に

政府は20日公表した9月の月例経済報告では輸出について「海外 経済の回復が弱まっているものの、サプライチェーンの立て直しによ り、持ち直しの動きがみられる」と判断を据え置いた。ただ、先行き は「海外景気の下振れリスクや円高の影響に留意する必要がある」と している。

季節調整済みの前月比では8月の輸出額は0.3%増の5兆5845億 円、輸入額は2.7%増の5兆8789億円。差し引きした貿易収支は2944 億円の赤字となり、震災後の4月以降、5カ月連続の赤字となった。

バークレイズ・キャピタル証券の森田京平チーフエコノミストは 発表前のリポートで「9月以降は海外経済に減速リスクがあるなかで、 輸出は減速する可能性がある」と指摘。季節調整済みの貿易収支赤字 は「輸出減少型」から「輸入増加型」に変わり始めたとして、「資源価 格の高止まりに加え、復興需要を反映した数量による押し上げ効果で 今後も継続的に増加が続く」とみている。

--取材協力: Minh Bui, Theresa Barraclough Editor:Norihiko Kosaka, Hitoshi Sugimoto, Takeshi Awaji

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