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UBSのCEOを筆頭株主が叱責、取締役会で経営陣交代も議論か

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スイスの銀行最大手UBSのオズ ワルド・グルーベル最高経営責任者(CEO)は21日にシンガポール で開かれる取締役会で、1週間ほど前に発覚した不正取引による23 億ドル(約1758億円)の巨額損失事件に対応し、リスク低減と投資銀 行部門の縮小を迫られるとみられる。

グルーベルCEOは20日、同行の筆頭株主であるシンガポール政 府投資公社(GIC)から叱責を受けた。政府系ファンド(SWF) のGICは、上級幹部と同CEOとの会談後の発表文で、「過ちについ て失望と懸念」を表明するとともに、UBSに対して、「信頼回復に向 けて断固たる行動を取る」よう強く求めた。

今回の不祥事は、クレディ・スイス・グループで業績回復を成し 遂げた実績などを買われて2年半前にUBSのCEOに迎えられたグ ルーベル氏(67)にとって転換点になりそうだ。グルーベル氏はUB Sでの立場が危うくなる恐れがあるものの、明らかに後継者と目され る人物はいない。

ハンブルガー・シュパールカッセのアナリスト、クリスチャン・ ハマン氏は、「不祥事はグルーベル氏とUBSの評判を落とすものだ」 と述べ、「ただ、グルーベル氏はかなり多くの実績を挙げており、UB Sを上手く安定させてきた」と付け加えた。

UBSの広報担当タティアナ・トグニ氏は、後任人事に関する「憶 測」にはコメントしないと述べた。グルーベル氏のコメントは得られ ていない。

経営陣交代か

関係者の1人によると、2日間の日程で行われる取締役会では今 回の損失と経営陣交代の可能性について協議する。同関係者は取締役 会が非公開だとして匿名を条件に語った。この定例取締役会は損失が 発覚する前から予定されていたもので、同時に開催されるシンガポー ル・フォーミュラ・ワン・グランプリで同行は顧客を接待することに なっている。

スイス誌ビランは20日、グルーベルCEOが辞任を求められたと、 取締役会に近い関係者の話を匿名で伝えており、同行締役会が同CE Oの後任人事について協議を進めている。同誌は情報の入手方法と誰 が辞任を求めたかには言及していない。

UBSの発表文によると、今回の損失はS&P500種株価指数と DAX指数、ユーロストックス指数の先物の過去3カ月の取引で発生 した。問題のポジションは大規模な世界的株式トレーディング企業と して「通常の業務手順」の枠内だったが、リスクの大きさは架空取引 によって隠されていた。この不正取引を受けて7-9月(第3四半期) は赤字に陥る可能性がある。

グルーベルCEOは2カ月足らず前に、UBSが業界屈指のリス ク管理部門を持っていると述べていただけに、今回の損失発覚によっ て同行の管理体制に疑念が生じた。英金融サービス機構(FSA)や スイスの監督当局は、今回のトレーディング損失を調査すると表明し た。UBSがトレーディング損失を明らかにした翌日の16日、ロンド ン市警察は同行トレーダーのクウェク・アドボリ被告を詐欺と不正会 計の罪で訴追した。

同CEOは18日付のスイス紙ゾンタークのインタビューで、今回 の損失の責任を取って辞任する考えはないと述べ、「誰かが犯意を持っ て行動する時には、どうすることもできない」と語った。スイスのテ レビ局との別のインタビューでは、最終的な責任は自分にあるとして 結果を受け入れると話した。

ランデスバンク・ベルリン・インベストメントで140億ドル(約 1兆700億円)の運用に携わるルッツ・ローマイヤー氏は、去就問題 はグルーベルCEO次第だと述べ、トレーダーがルールを熟知し、す り抜ける方法を知っているなら、阻止することは極めて困難だと指摘 した。

後継プランの欠如

今回の事件はUBSの後継プランの欠如を浮き彫りにしたとアナ リストらは話している。グルーベルCEOは11月に68歳になり、カ スパー・フィリガー会長(70)は2013年に退任する予定。後継会長に 就任するアクセル・ウェーバー前ドイツ連銀総裁(54)は商業銀行経 営の実務経験に乏しい。

トレーディング損失の発覚で投資銀行部門責任者のカーステン・ ケンジェター氏(44)が経営トップに昇格する可能性も減る。ローマ イヤー氏は「ケンジェター氏は投資銀行部門の責任を負っているため、 CEOよりも風当たりは強い」と指摘した。

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