地価下落率が2年連続縮小、政策効果で住宅地需要-震災は浦安も直撃

東京、大阪、名古屋の3大都市圏 の土地価格は、2年続けて下落率が縮小した。低金利といった政策効果 で住宅地需要が持ち直している。東日本大震災は被災地や千葉県浦安市 の地価を直撃して、下げ止まりつつある大都市圏と地方の格差が鮮明に なった。

国土交通省は20日、基準地価(2011年7月1日時点)を発表した。 3大都市圏の全用途平均は1.9%の下落(10年は3.2%下落)だった。 低金利や住宅ローン減税がマンションや戸建て住宅取得を促し、住宅地 は1.7%下落(同2.9%下落)、商業地は2.2%下落(4.2%下落)とマ イナス幅が縮小した。全国の全用途平均は3.4%下落(3.7%下落)。

3月11日に発生した震災で被害が大きい3県(福島、宮城、岩手) をはじめ、地方では住宅地を中心に下落率が拡大する地域が目立った。 3年ぶりに小さい下落率となった大都市圏とは対照的に、地方の全用途 平均は4.0%低下と3年連続で下落率が拡大した。

みずほ証券の石沢卓志チーフ不動産アナリストは基準地価について 「全体として下落幅の縮小が続いているが、東北や関東で震災の影響が 出た」と語った。国交省の岩城豊地価調査課課長は「政策が後押して東 京圏の住宅地は震災まで非常にマンション需要、戸建て需要が堅調に推 移した」と説明した。同時に震災後は東京圏湾岸部の高層マンションで こうした効果がなくなったという現状も示した。

震災・原発事故

震災で地盤が液状化した浦安の住宅地は7.1%下落(前年は1.9% 下落)した。大都市圏人口10万人以上の市で最大のマイナスになる。 浦安の戸建て住宅の被害が大きかったと分析している石沢氏は「今後復 興計画のもとで防災都市として生まれ変われば、再び価値が見直される 可能性がある」と予想した。浦安は商業地も5.0%下落した(同5.5% 下落)。

地方圏の人口10万人以上の住宅地では茨城県日立市と高知県高知 市が9.4%と下落率でトップ。続いて山口県防府市、徳島県徳島市、福 島県いわき市、同福島市、広島県呉市、岩手県盛岡市、茨城県ひたちな か市、宮城県石巻市、福島県郡山市などが続いた。下落率は震災で放射 能漏れ事故を起こした東京電力福島第一原発に近い地域が目立つ。

地方圏の商業地でも福島第一原発に近い地域の下落が目立つ。国内 で最も下落率が大きかった商業地は福島県郡山市熱海町で15%下落、続 いて宮城県石巻市穀町で14.8%下落だった。

地価は全国的には下落率が縮小して横ばいや上昇が多くなったが、 大震災後には特に東京圏や名古屋圏で下落率がやや拡大した。大阪圏は 堅調な住宅需要などで下落率が縮小している。国交省の岩城豊課長は 「大震災がなければ上昇や横ばいの地点は増えたと思う」と予想した。

最高額

基準地価が最も高い場所は、6年連続で東京都中央区銀座二丁目2 番19外の「明治屋銀座ビル」。1平方メートル当たりの価格は2.5%下 落の1970万円だった。続いて東京都千代田区丸の内三丁目14番1の 「東京商工会議所ビルディング」で同3.0%減の1950万円、東京都千代 田区大手町一丁目1番3の「大手町パルビル」で2.6%減の1860万円。 いずれも9年連続で同じ順位。高額上位10地点は前年比でいずれも下 落した。

大震災後は日本の不動産取引が大きく落ち込んでいる。米不動産調 査会社のリアル・キャピタル・アナリティクス(RCA)によると、第 一四半期(4-6月)の日本の不動産取引額は前年同期比42%減の36 億ドルと、09年第3四半期の25億ドル以来の低水準に落ち込んだ。

不動産協会の木村恵司会長(三菱地所会長)も、下げ渋り、持ち直 しつつある地価に大震災が悪影響を与えたと分析した。その上で地価を 支えている住宅投資に水を差さないため、住宅エコポイントに替わる制 度創設、住宅ローンのフラット35Sの金利優遇措置継続などに期待を示 した。また「消費税引き上げの検討に際しては住宅への配慮が必要だ」 とも強調した。

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