IMF:日米など高債務の先進国、市場心理の影響受けやすい-報告書

国際通貨基金(IMF)は20日、 日米などの高水準の債務を抱えた先進国は、一部ユーロ圏諸国の借り 入れコストを押し上げたような市場心理の影響を受けやすいとの認識 を示した。

IMFは半年に1度公表する財政監視報告書で、「赤字財政をめぐ る展開と市場参加者によるリスク認識における相違の高まり」を強調、 一部の国が財政赤字削減に向け講じた措置が引き続き厳しい市場の監 視にさらされていると指摘した。

報告書は、「イタリアとスペインなど比較的大規模な経済を持つ国 の借り入れで上乗せコストが大きく上昇したことは、市場のセンチメ ントが突然変化し得ることを示している」と分析、「ユーロ圏に広がる 金融面の圧力の速度と過酷さは日本と米国にとって警告となる」とい う。

IMFによれば、先進国は来年、借り入れニーズが高まり、日本 は対GDP(国内総生産)比で約59%と先進国中で引き続き最大とな る。米国の比率も30%に高まる。「多くの国で主要な財政の弱さへの対 応が進んでいるにもかかわらず、世界の財政環境は引き続き高度のリ スクにさらされている。ユーロ圏と米国だけでなく、他の先進国や新 興国、低所得経済も幅広く大きな政策課題への対応が必要となる」と している。

報告書によれば、先進国の公的債務は2015年までに対GDP比で 約109%に達し、07年の約73%から膨らむ。「こうした課題に迅速かつ 断固として対応し、明確で一貫性のある説明を続けることができなけ れば、投資家の懸念が現実のものとなるリスクを招き、金利上昇と流 動性圧力がファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)の悪化を引き 起こす」という。

財政赤字

IMFは、「ユーロ圏の課題は財政健全化を続け、成長の落ち込み を最小限に抑え、危機解決のメカニズムの適切さに関する投資家の懸 念に対処することだ」と説明。先進国の財政赤字について、今年は対 GDP比で平均6.7%と、09年の8.8%から減少すると予想。米国は今 年、赤字比率が9.6%とアイルランドと日本の10.3%に続く3番目の 高水準になるとの見通しを示した。

日本には東日本大震災の「復旧・復興が重要な短期的な優先課題 だが、さらなる税制改革などを通じ10年代半ばまでに債務比率を引き 下げ始める調整を加速させることが適切だろう」とし、米国について は、「信頼できる戦略には社会保障改革と歳入拡大を盛り込む必要があ る」と記した。