OPEC:原油1兆ドル収入を社会保障などに投資-貧困層を支援

サウジアラビアは貧困層や宗教施 設向けに430億ドル(約3兆3000億円)を投資する計画だ。クウェー ト国民は1年間、無料の食事援助を受けられる。アルジェリアの公務 員の給与は34%引き上げられる予定。アラブ首長国連邦(UAE)の 砂漠の都市では、送電が途切れる事態は近くなくなる見通しだ。

米エネルギー省によると、石油輸出国機構(OPEC)加盟国の 指標となる原油価格がこれまでで最も長期間にわたって1バレル当た り100ドルを上回ったため、今年の加盟国の収入は計1兆ドルと、前 例にない水準に達すると予想されている。民主化運動がチュニジアや エジプト、リビアの政権交代の引き金となり、イエメンやシリアにも 拡大したことを受け、中東各国は公共事業や社会保障政策に過去最大 規模の投資を行うことを約束している。

前回の原油ブームでは、アブダビが英国のサッカークラブチーム、 マンチェスター・シティーを、カタールはドイツの高級自動車メーカ ー、ポルシェを、それぞれ買収した。この時とは対照的に、ペルシャ 湾岸諸国は今年、国民のために1500億ドルを追加投資する方針を示し た。バンク・オブ・アメリカ(BOA)によると、これらの投資計画 を実行に移すためには、米国の指標となるWTI(ウェスト・テキサ ス・インターミディエート)原油が80ドル以上の水準を維持する必要 がある。

BOAのエコノミスト、ジャンミシェル・サリバ氏(ロンドン在 勤)は8日の電子メールで「社会的圧力への対処に向けた投資の急増 は、大半の国々で統治体制への潜在的な懸念の回避につながっている が、民間セクター成長や雇用創出のためには長期的経済改革が必要だ ろう」と指摘。「社会的支出がなければ、湾岸諸国の抗議行動により各 国が立憲君主制に向けて動く可能性もある」との見方を示す。

OPEC産の代表的な輸出原油の価格を加重平均したOPECバ スケット価格は2月21日以降、1バレル当たり100ドルを上回る水準 で取引されている。バスケット価格は今月16日時点で110.69ドル、 ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTIの同日終値は87.96 ドルだった。

アラブの春

チュニジアのベンアリ前大統領が1月に亡命し、いわゆる「アラ ブの春」が始まった。抗議行動によりエジプトでは30年間にわたって 同国を統治してきたムバラク政権が崩壊し、シリアではアサド家によ る支配が脅かされている。

リビアでは反体制派との7カ月間にわたる戦闘の末にカダフィ大 佐による42年間に及ぶ支配に幕が下ろされ、反体制派のリビア国民評 議会は19日に組閣に向けた会合を開いた。アラブ諸国の最貧国イエメ ンのサレハ大統領は、33年間にわたって維持した政権の座からの退陣 を迫られている。国連開発計画によると、中東と北アフリカの失業率 は11%で、アルジェリアでは22%に達している。

OPEC最大の加盟国サウジアラビアの3月18日の発表による と、同国内務省は、イエメン北部との国境地帯で、住宅建設や給与の 引き上げ、6万人の新規雇用創出に向けた資金援助を行っている。聖 職者らが国内での抗議行動禁止を支持したことを受け、イスラム問題 省と勧善懲悪委員会には少なくとも10億リヤル(約200億円)の予算 が配分された。