UBS:S&Pとムーディーズ、フィッチが格付け見直し-巨額損失で

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格付け会社スタンダード・アン ド・プアーズ(S&P)とムーディーズ・インベスターズ・サービス は、スイスの銀行UBSの格付けを引き下げ方向での見直し対象とし た。同行は15日に、投資銀行部門のトレーダーが不正取引で20億 ドル(約1530億円)の損失が出たことを明らかにした。

ロバート・トマス氏らムーディーズのアナリストは15日の発表 文で、「再び明らかになったUBSのリスクマネジメンと管理の継続 的な弱さ」を中心に検証すると説明した。S&Pは16日、「損失の 規模とそのような事態の発生を許したリスク管理の甘さについての詳 細がよりはっきりした時点で」格下げするかどうかを決定すると説明 した。

格付け会社は損失額が発表されたのと同程度の水準であれば、U BSは「対応できる」との見解も示した。

投資銀行部門の立て直しを図るUBSのオズワルド・グルーベル 最高経営責任者(CEO)にとって事件は打撃だ。ムーディーズは適 正な水準にリスクを抑えながら投資銀行の収入を伸ばすUBSの能力 に、今回の事件がどのように影響するかを検証するとしている。事件 によって、UBSが「投資銀行事業の立て直しを成功させる能力に疑 問符が付いた」と指摘した。

S&Pは、今回の「損失はUBSの評判回復の取り組みを妨げ、 2007-09年の弱いパフォーマンスの後にリスク管理を強化したこと を示す上でマイナスだ」と指摘。さらに「UBSは現在、投資銀行部 門の規模や形態について戦略的見直しを実施しており、今回のトレー ディング損失がその結果に影響する公算がある」と解説した。

現在明らかになっている情報に基づけば、見直しの結果UBSの 長期カウンターパーティー格付け「A+」は1段階の格下げか据え置 きのいずれかとなる見込みだともS&Pは説明した。

ムーディーズの発表によると、同社の見直しはUBSの単体財務 格付けと長期債務、預金格付けが対象。プライベートバンクとウェル スマネジメント事業への影響も検討するとしている。

フィッチ・レーティングスは16日、UBSの「存続可能性」格 付けを引き下げ方向で見直すと発表した。発行体デフォルト格付け (IDR)は据え置いた。

フィッチは「いかなる管理体制も銀行を『ならず者』トレーダー から完全に保護することはできないと認識している」とした上で、 「しかしながら、UBSが投資銀行活動を縮小したことに照らし、ま た他社での同様の事件との比較において、損失の規模は大きい。この 事件はUBSに投資銀行事業縮小を迫る議論を強めるだろう」と分析 した。