【日本株週間展望】続伸へ、リスク回避の動き後退-9000円試す展開

9月第3週(20-22日)の日本株 相場は、続伸が予想される。欧州の金融システム不安が一時的に和ら ぐ中、投資家のリスク資産圧縮の動きが後退している。米国株などに 比べた出遅れ感もあり、日経平均株価は節目の9000円を試す展開にな りそう。ただ、米国の景気減速懸念は払しょくされておらず、さらな る上値の可能性は低い。

しんきんアセットマネジメントの山下智巳主任ファンドマネジャ ーは、「足元でのリスク回避の動きはいったん収まったという印象。区 切りのいい9000円や、9月初めに付けた8月急落後戻りの9060円を にらんだ動きになる」と予想している。

第2週の日経平均は、前週末比126円50銭(1.4%)高の8864 円16銭と反発。米格付会社のムーディーズ・インベスターズ・サービ スがフランスの銀行、ソシエテ・ジェネラルの債務と預金格付けを1 段階引き下げたことなどから、14日の取引時間中に一時3月15日以 来、半年ぶりに8500円を割り込んだが、週後半に戻した。

フランスのサルコジ大統領とドイツのメルケル首相が14日、ギリ シャのパパンドレウ首相と電話会談し、ギリシャの支援体制を確認。 15日には、欧州中央銀行(ECB)が米連邦準備制度理事会(FRB) や日本銀行などと協調、年末を挟む期間約3カ月のドル建て流動性オ ペを3回実施すると発表した。欧州債務問題、金融システムへの不安 が後退し、輸出や素材、金融など景気敏感株中心に見直された。

プルデンシャル・インベストメント・マネジメントの篠原慎太郎 株式運用部長は、「当面の金融システムショックを回避する動きが見ら れ、欧州債務懸念が後退した。ただ、財政問題の根本的な部分は解決 されておらず、まだまだセンチメントは振れやすい」と見ている。

一段高には米景気の確証必要

しんきんアセットの山下氏によると、「円高を考慮に入れても、日 本株は出遅れている。ギリシャの話題が落ち着いた中で、日経平均は 16日終値で25日移動平均線(8805円)を上回っており、上昇トレン ドにある」という。SMBCフレンド証券の中西文行ストラテジスト も、「欧州の動きを見る限り、ギリシャがすぐにデフォルト(債務不履 行)する可能性はなくなった。レンジが1段階切り上がり、9000円を 挟んだ相場になる」との見方だ。

ただ、さらに上値を追うには、米国景気が2番底に陥らないとい う確証が必要と山下氏。「足元では株価のボラティリティは欧州の債務 問題で決まっているが、中期的トレンドは米景気が決める」と話す。

米景気の先行きに対する懸念は、今のところ和らぐ気配がない。 ニューヨーク連銀が15日に発表した9月の同地区製造業景況指数は マイナス8.8と、前月のマイナス7.7から悪化した。ブルームバーグ がまとめたエコノミスト予想の中央値はマイナス4だった。また、米 労働省が同日発表した先週の新規失業保険申請件数は、前週から1万 1000件増加し42万8000件と、6月末以来の高水準。プルデンシャル の篠原氏は、「消費のエンジンである米国の経済指標が良くならないと、 どこの国の経済も良くならない」と指摘する。

ユーロ安、海外勢売りに懸念くすぶる

欧州の金融システム不安から為替市場では12日、ユーロが対円で 一時1ユーロ=103円90銭まで下落し、約10年ぶりの円高・ユーロ 安水準を付けた。その後は106円台まで反発したものの、ユーロは歴 史的な安値圏で推移している。

9月に入り、東証1部33業種の電気機器指数は3.8%下落する中、 欧州での売上高比率が高いキヤノンは5.1%、ソニーが5.2%下落し、 年初来安値を更新した。ブルームバーグ・データがまとめた28金融機 関の10-12月期のユーロ・円相場の予想中央値は、1ユーロ=110円 となっているが、しんきんアセットの山下氏は「今後の債務問題の進 展次第では、まだまだ下に行く可能性は十分にある」と見る。

東京証券取引所が15日に公表した9月第1週(5-9日)の投資 部門別売買動向では、海外投資家が7週連続で売り越し、リーマン・ ショック後の相場底入れの過程であった2009年1月2週から3月2 週にかけての9週連続以来の連続売り越し記録となった。売越額も 5341億円と、前の週の491億円から急拡大。取引開始前の外資系証券 9社経由の注文状況は、株数ベースで16日に大幅な買い越しに転換し たと観測されたが、海外勢の売り圧力に対し警戒感は根強い。

ブルームバーグ・データによると、東証1部のPBR(株価純資 産倍率)は0.92倍と、解散価値を下回っている。バリュエーション上 から見た割安感はあるが、野村証券の山内正一郎テクニカルストラテ ジストは、チャート分析上は「日経平均は8600円以下には主要な節目 がない」と指摘。仮に09年3月安値7021円と11年3月安値8227円 を結んだサポートラインを日経平均が下回れば、「先行き3月15日安 値8227円を試しにいく可能性が高くなろう」と予測する。

FOMC、G20

第3週は、20日から21日にかけて米国で連邦公開市場委員会(F OMC)が開催され、22日にはワシントンで20カ国・地域(G20) 財務相・中央銀行総裁会議、23日から24日には国際通貨基金(IM F)・世界銀行年次総会が開かれる。

しんきんアセットの山下氏は、「今回のFOMCでは、前回と違い QE3(量的緩和策第3弾)への期待は出ていないが、週の前半に何 らかのコメントや政策を期待して相場が上昇する可能性はある」と予 想。SMBCフ証の中西氏はG20に注目しており、「新興5カ国(B RICs)が欧州債務問題の支援策について具体的な発表をすれば、 ギリシャ問題は完全にあく抜けするだろう」と話している。

【市場関係者の見方】 ●明和証券の矢野正義シニア・マーケットアナリスト

欧米日によるドル供給はギリシャ問題の根本的な解決につながる わけではなく、銀行の資本不足に対する懸念は残る。第2週に発表さ れた米国の景気指標も悪化傾向にあり、米景気は深刻だ。日経平均は 25日線を回復したが、本格的に上回ってくるには米景気対策やユーロ 共同債の発行などの欧州問題の進展が必要。このため、3週は日経平 均8500-8900円のレンジでのもみ合いを抜け出せないだろう。

●メリルリンチ日本証券の菊地正俊株式ストラテジスト

日経平均は8500円を割れそうで割れなかった。今後も世界景気は 悪化が続き、企業業績の下方修正を覚悟せざるを得ない状況だが、政 策期待が根強い上、投資家が株式比重を既に下げてリスク回避的にな ったため、と考えられる。2日祝日があり、薄商いでの8500-9000 円での推移が続こう。時価総額が現預金を下回るようなディープバリ ュー株には反発の余地があろう。逆にユーロが対円で10年ぶりの安値 を更新する中、欧州関連株は避けた方が良い。

--取材協力:長谷川敏郎  Editor:Shintaro Inkyo

参考画面: 記事についての記者への問い合わせ先: 東京 岩本正明 Masaaki Iwamoto +81-3-3201-8343  miwamoto4@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net 香港 Nick Gentle +852-2977-6545 ngentle2@bloomberg.net