UBS巨額損失:ケルビエル、リーソンの教訓はどこに-ならず者健在

スイスの銀行最大手UBSが 15日明らかにした巨額のトレーディング損失は、フランスの銀行ソ シエテ・ジェネラルや英投資銀行ベアリングズ(1995年に破綻)で 起きた事件から、UBSなど銀行が教訓を得ていないことを示したと 専門家たちが指摘した。

UBSはトレーダーの未承認取引によって20億ドル(約1530 億円)の損失を被ったと発表した。ソシエテのデリバティブ(金融派 生商品)トレーダーだったジェローム・ケルビエル被告が49億ユー ロ(約5200億円)の損失を同行にもたらした事件や、ニック・リー ソン氏が14億ドルの損失で名門ベアリングズを破綻させた事件を彷 彿(ほうふつ)とさせる。

法律事務所CMSキャメロン・マケナで金融サービスを専門とす る弁護士、サイモン・モリス氏は電子メールで「ソシエテのケル ビエル事件から、すべての銀行が痛い教訓を学んだはずなのに、 2011年になってまだ『ならず者』トレーダーがこのような損失を銀 行に与えることができるというのは驚異だ」と指摘。「投資銀行が近 年のカジノのような銀行事業のあり方から距離を置きつつある今、こ んなことが起こるとは嘆かわしい」と続けた。

UBSの投資銀行部門は2009年までの3年間に、累積で571 億スイス・フラン(約5兆円)の税引き前損失を計上。立て直しを図 るUBSのオズワルド・グルーベル 最高経営責任者(CEO)にと って、今回の事件は打撃だ。同部門の縮小や閉鎖を同CEOに迫る声 が再燃する可能性がある。

銀行つぶしという名のカクテル

UBSのロンドンの広報担当者はコメントを控えた。今回の同行 の損失額は1人の従業員が引き起こしたものとしては2008年のケル ビエル事件以来で最大。パリの裁判所に昨年、損失全額の弁済を命じ られるとともに禁固3年の刑を言い渡され、ケルビエル被告は控訴し ている。

英金融サービス機構(FSA)はケルビエル事件後に50行に上 るロンドンの銀行と事件を協議し、あらゆる重大リスクに対してトレ ーダーのポジションを監視するよう勧告したという。

サステーナブル・リスクスの金融規制アドバイザー、リンゼー・ トマス氏は電話インタビューで、「UBSは規制当局にたっぷり絞ら れるだろう」と話した。今のような環境の下で当局は容赦しないだろ うと述べた。

リーソン氏はシンガポールで6年半の刑期の3分の2を服役し、 釈放された。シンガポールの「ハリーズ・バー」には同氏の出所を記 念して作られた「バンク・ブレーカー(銀行つぶし)」というカクテ ルがある。