ヘッジファンドのカリスマ運用者、後継育成が課題-コブナー氏の場合

ヘッジファンドを運用するブルー ス・コブナー氏は、スタンレー・ドラッケンミラー氏やジュリアン・ロ バートソン氏がなし得なかったことをできると考えている。それは、顧 客資金のトレーディング業務から退いた後もヘッジファンドを継続する ということだ。

コブナー氏は13日、運用資産100億ドル(約7700億円)のキャ クストン・アソシエーツ(ニューヨーク)の運営をアンドルー・ロー最 高投資責任者(CIO、45)に引き継ぐと発表した。同社を1983年に 創業したコブナー氏(66)は顧客宛ての書簡で、個人的な理由で年末ま でに退職する意向を示した。社長で共同創業者のピーター・ディアンジ ェロ氏(64)も退職する予定だ。

キャクストンは、多くのヘッジファンドが抱えている難しい問題に 直面している。創業者のトレーディング技術や評判によって築き上げら れた成功をいかにして経営面で継承していくかという問題だ。

米ブラックストーン・グループなどのプライベート・エクイティ (PE、未公開株)投資会社は、非上場の投資パートナーシップから上 場会社に移行し、多角的な資産運用会社となった。これらのPE投資会 社とは対照的に、ロバートソン氏率いるタイガー・マネジメントやドラ ッケンミラー氏率いるデュケーヌ・キャピタル・マネジメントは、創業 者が退職した後、投資家の資金を返却した。

法律事務所クラインバーグ・カプラン・ウォルフ・アンド・コーエ ン(ニューヨーク)のパートナー、マイロン・カプラン氏は「ヘッジフ ァンドの後継者育成はあまりうまくいっていない」と指摘。「重要なの は企業を組織化し、それがただ1人のカリスマ的運用者のファンドだ という投資家の認識を変えることだ」と語る。

伝説のヘッジファンド運用者たち

過去1年間に、ヘッジファンド業界では少なくとも3人のトップレ ベルの運用者たちが顧客の資金を投資する業務を停止した。米資産家ジ ョージ・ソロス氏(81)は7月に投資家に対し、ソロス・ファンド・マ ネジメントを家族の資金だけを運用することに移行する方針を発表。 シャムウェイ・キャピタル・パートナーズ(コネティカット州)の創業 者、クリス・シャムウェイ氏(45)は2月に資金を顧客に払い戻すと発 表した。ドラッケンミラー氏(58)は2010年8月にヘッジファンドを 閉鎖した。

伝説的なヘッジファンド運用者であるロバートソン氏(79)は 2000年に、マイケル・スタインハート氏(70)は1995年に、それぞ れ顧客の資金を払い戻した。

カプラン氏は「フランチャイズの価値が消滅し、それが、創業者や 社員、投資家など関係者全員に十分に理解されていないのは残念だ」と の見方を示す。

対照的に、大手PE投資会社の創業者らは、企業が確実に長期にわ たって生き残れるよう、多くが60歳代で事業を多角化し株式公開に踏 み切っている。

KKRの将来

PE投資会社最大手のブラックストーンとフォートレス・インベス トメント・グループは07年に株式公開を実施した。米KKRは昨年、 アポロ・グローバル・マネジメントは今年3月にニューヨーク市場に上 場した。カーライル・グループは今月、新規株式公開(IPO)を申請 した。

KKRの共同会長であるヘンリー・クラビス氏とジョージ・ロバー ツ氏は経営委員会を立ち上げ、将来、事業運営に携わる可能性のある若 手幹部と同社の管理を分担している。クラビス氏(67)は3月に投資家 らに対し、両氏が事業継承について検討していること明らかにした。

クラビス氏は「ジョージと私はこの事を毎日考えている。KKRの 将来について協議しており、どのような企業でも非常に豊富な人材を育 成しなければ運営することはできないというのがわれわれの見解だ」と 述べた。

ブラックストーンは07年のIPO申請の際に、スティーブン・シ ュワルツマン最高経営責任者(CEO、64)が退任した際にはトニー・ ジェームズ社長(60)が引き継ぐ予定であると発表している。シュワル ツマン氏は1985年、08年末に退職したピーター・ピーターソン氏(85) と共にブラックストーンを創業した。

コブナー氏から学ぶ

キャクストンのロー氏は、ゴールドマン・サックスでロンドンの自 己勘定取引事業の元責任者だった経歴を持つ。来年、キャクストンの会 長兼CEOに就任予定だ。世界で社員220人を擁する同社の日々の業務 運営のため経営委員会を設置する計画だ。

ロー氏は、トレーディングのスタイルは常にコブナー氏と似ていて 市場を理解し、理にかなわないと思われる場合にはリスクを軽減するな ど貴重な教訓を学んできたと語る。

ロー氏はインタビューで「大半の業務移行は収益性の不足とパーソ ナリティーの問題で失敗している。市場の動向を正しく捉えることがで きなければ、うまくいかなくなる」との見方を示した。

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