宮尾日銀委員:深刻化すれば世界経済全体に影響-欧州債務問題

日本銀行の宮尾龍蔵審議委員は14 日午後、函館市内で記者会見し、欧州の債務問題がさらに深刻化すれ ば、世界経済全体、ひいては国内経済にも影響を与え得るとの見方を 示した上で、金融政策運営について「必要と判断される場合には適切 な措置を講じる」との姿勢を繰り返した。

宮尾委員は欧州債務問題が邦銀に与える影響については、邦銀が 保有する欧州諸国の国債がそう多くはないことから、「この問題がさ らに深刻化した場合に、日本の金融機関に及ぼす直接的な影響は大き くないのではないか」と述べた。

ただし、「もし欧州の問題がさらに深刻化して、金融システムが 不安定化し、実体経済にも波及していった場合には、世界経済全体に 大きな影響を与え得る可能性がある」と指摘。そのことが日本の金融 機関や金融市場、経済全体に「影響を与える可能性がある点には注意 が必要だ」と述べた。

宮尾委員は同日午前の講演で、欧州の債務問題がイタリアやスペ インにまで飛び火しており、同問題をめぐるリスクは「拡大している とみられる」と述べた。また、「円高の定着」も懸念材料だとした上 で、金融政策は「今後も、必要と判断される場合には、適切に対応し ていくことが大切だ」との考えを示した。

企業マインドは大きく崩れていない

為替相場の円高が続いていることについては「為替レートだけを 見て政策判断をしているわけではない」としながらも、「為替動向、 海外経済の動向、あるいは地域の実情等も勘案しながら、先行きの経 済、物価情勢を丹念に点検し、必要と判断される場合は適切な措置を 講じていく」と述べた。

円高が国内経済に与える影響については「企業マインドに及ぼす 影響が気になるところではあるが、とりあえずデータとして確認でき る企業マインドの指標で言えば、まだ大きく崩れていないというのが 私自身の理解だ」と述べた。

宮尾委員が講演テキストの表に掲載した企業マインド指標による と、大企業のマインドは8月に実施された民間調査4つのうち、3つ で改善した。宮尾委員はこれらの指標について「総じて改善と判断で きるのではないか」と語った。

日銀が8月4日に追加緩和に動いた際には、対外公表文に「海外 情勢や、それらに端を発する為替・金融資本市場の変動が、わが国の 企業マインドひいては経済活動にマイナスの影響を与える可能性があ る」と指摘した。みずほ証券のチーフマーケットエコノミスト、上野 泰也氏は「少なくともこの角度からは、仮に日銀がいま追加緩和に動 こうとする場合、エビデンス(証拠)は現状不十分」ということにな る」としている。

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