アジア開銀:11年アジア成長率見通し下方修正-インフレリスク指摘

アジア開発銀行(ADB)は、 世界の景気回復にブレーキがかかりつつあることでアジア地域の経済 成長鈍化が予想されるものの、同地域の政策当局者は物価上昇の抑制 に取り組む必要性に迫られると指摘した。

ADBは14日公表した今年のアジア経済見通しに関する報告書 で、日本を除くアジア地域の2011年の経済成長率を7.5%とし、4 月時点の7.8%から見通しを引き下げた。今年のアジアのインフレ率 見通しは前回予想の5.3%から5.8%に引き上げた。

長引く欧州債務危機と米雇用の伸びが足踏み状態にあることがア ジアの輸出にとって打撃となっており、中国やシンガポールの成長鈍 化の一因となった。また今年利上げを実施した韓国とインドネシア、 マレーシア、フィリピンの4カ国は今月、追加利上げを見送っている。 ADBは、こうした中でも資本移動のボラティリティ拡大と物価上昇 のリスクは依然存在することから、政策当局者はこれに備える必要が あると指摘した。

ADBは、報告書に伴う発表文で、「インフレは引き続き懸念材 料だ」とした上で、「商品相場が再び上昇し、現在の世界的な景気回 復の失速が一時的なものだと判明すれば、アジアの国・地域の中銀は 金融引き締めプロセスの加速を迫られるだろう。既に高インフレとな っているところは特にそうだ」と指摘した。

12年の成長見通しも引き下げ

ADBは12年の日本を除くアジアの成長率についても7.5%と、 前回の7.7%から引き下げた。

12年のインフレ率見通しは4.6%に据え置いた。ADBは「若 干低下はするものの、来年のインフレ率は4.6%に高止まりが予想さ れる。国・地域によって大きなばらつきがあるだろう」と分析した。

また、アジアの中でも中国や韓国、香港、台湾、モンゴルを含む 東アジアが最も高成長を遂げる地域になると指摘した。

中国の今年の成長率見通しについては、インフレ抑制のための金 融引き締めと海外需要の縮小がマイナスに作用するとして、前回予想 の9.6%から9.3%に引き下げた。ADBはインドの今年度(11年4 月-12年3月)の成長率も7.9%と、4月時点の見通し(8.2%)か ら下方修正した。