野田首相:日本再生戦略を年内に、成長と財政健全化は両輪-所信表明

野田佳彦首相は13日午後、衆院 本会議で就任後初めての所信表明演説を行った。経済成長と財政健全 化を両立させた経済財政運営を行う方針を示した上で、東日本大震災 後の状況を踏まえた日本の再生戦略を年内にまとめる考えを表明し た。

事前配布された演説テキストによると、首相は「経済成長と財政 健全化は、車の両輪として同時に進めていかなければならない」と強 調。昨年6月に策定した「新成長戦略」の実現を加速するとともに、 「大震災後の状況を踏まえた戦略の再強化を行い、年内に日本再生の 戦略をまとめる」との決意を示した。

戦略の具体化を含めた国家としての重要政策を統括する司令塔 の機能を担うため、「産官学の英知を集め、既存の会議体を集約して、 私が主宰する新たな会議体を創設する」と明言した。

日本銀行との関係については「産業の空洞化を防ぎ、国内雇用を 維持していくためには、金融政策を行う日本銀行と連携し、あらゆる 政策手段を講じていく必要がある」と語った。

藤村修官房長官は9日、内閣記者会のインタビューで、新設する 会議体の役割について「経済財政諮問会議のようなものを今作ろうと はしていなくて外交安全保障も含めたまさに国家戦略をハイレベル で検討し推進していく会議をイメージしている」と述べ、経済財政政 策に限定せず幅広い分野の政策課題を検討する方針を示している。

大震災

首相は所信表明演説で、東日本大震災からの復旧・復興と日本経 済の建て直しを内閣の「最優先課題」と位置づけた。

復興予算を盛り込んだ今年度第3次補正予算案については「準備 作業を速やかに進める」方針を明言した。財源に関しては「次の世代 に負担を先送りすることなく、今を生きる世代全体で連帯し、負担を 分かち合うことが基本」とあらためて指摘した。

具体的には歳出削減、国有財産の売却、公務員人件費の見直しな どで財源をねん出する努力を行うことも表明。その上で、時限的な税 制措置について「現下の経済状況を十分に見極めつつ、具体的な税目 や期間、年度ごとの規模などについての複数の選択肢を多角的に検討」 することを強調した。

東京電力福島第1原子力発電所事故の被災地に絡んだ問題発言 で鉢呂吉雄前経済産業相が辞任したことについては「被災者の心情に 配慮を欠いた不適切な言動によって辞任した閣僚が出たことは、誠に 残念」と指摘するとともに、「失われた信頼を取り戻すためにも、内 閣が一丸となって原発の事故収束と被災者支援にまい進する」ことを 誓った。

国家の信用

日本経済を取り巻く情勢に関しては「大震災以降、急激な円高、 電力需給のひっ迫、国際金融市場の不安定化などが複合的に生じてい る」とした上で、「産業の空洞化と財政の悪化によって、『国家の 信用』が大きく損なわれる瀬戸際にある」との危機感を表明した。

「日本経済の建て直しの第一歩となるのは、エネルギー政策の再 構築」との認識を示し、来年夏を目途に新しい戦略と計画を打ち出す ことを掲げた。原子力発電に関しては「脱原発」と「推進」の「二項 対立で捉えるのは不毛」と指摘。安全性を徹底的に検証・確認された 原発については、地元自治体との信頼関係を構築することを大前提と して、「定期検査後の再稼働を進める」方針を明言した。

日本の財政状況については「債務が債務を呼ぶ財政運営をいつま でも続けることはできない」と訴えた。社会保障・税一体改革に関し、 政府・与党の成案を土台に「与野党での協議を積み重ね、次期通常国 会への関連法案の提出を目指す」と宣言し、各党に政策協議を呼び掛 けた。

「環太平洋経済連携協定」(TPP)への交渉参加については「し っかりと議論し、できるだけ早期に結論を出す」とした。日米同盟に 関しては「外交・安全保障の基軸」と位置付け、米海兵隊普天間飛行 場(沖縄県宜野湾市)の移設問題についても「日米合意を踏まえつつ、 普天間飛行場の固定化を回避し沖縄の負担軽減を図るべく、沖縄の皆 さまに誠実に説明し理解を求めながら、全力で取り組む」考えを強調 した。

「正心誠意」

首相は演説で、「政治に求められるのは、いつの世も『正心誠 意』の4文字があるのみだ。意を誠にして、心を正す」と指摘。その 上で、「国民の皆さまの声に耳を傾けながら、自らの心を正し、政治 家としての良心に忠実に、大震災がもたらした国難に立ち向かう重責 を全力で果たしていく決意だ」とも訴えている。

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