英銀に24兆円増資、総合金融断念の試練-高いリターンもはや望めず

【記者:Liam Vaughan, Howard Mustoe and Gavin Finch】

9月13日(ブルームバーグ):英政府の諮問機関である銀行独立委 員会(ICB)が金融業界の将来の在り方に関する勧告を公表したが、 これには投資家への警告も含まれている。

イングランド銀行(英中央銀行)の元チーフエコノミスト、ジョ ン・ビッカーズ委員長が率いるICBの5人の委員の1人で、英紙フ ィナンシャル・タイムズのコラムニストでもあるマーティン・ウォル フ氏は12日記者団に対し、「国債や安全と見なされる債券の実質金利 が0.5%前後かそれを下回る世界で、ある銀行の株式への投資で15% の安全なリターンを合理的に期待できるものかと疑問に思うのではな いか」と発言。株主の期待は「ちょっと現実離れしている」と指摘し た。

ICBは12日の報告で、リテール(小口金融)部門と投資銀行部 門とのファイアウオール(業務の隔壁)の構築に加えて、損失を吸収 するための資本バッファーの上積みを金融機関に義務付ける勧告を行 った。アナリストは最大で2000億ポンド(約24兆4000億円)の資本 増強が必要になると予想し、ICBの試算によれば、改革実施のコス トと資金調達コストを合わせて、銀行業界の負担は最大で年間70億ポ ンドに上る見通しだ。

KPMGレギュラトリー・センター・オブ・エクセレンスの責任 者ジョン・ペイン氏(ロンドン在勤)は「どちらかといえば株主リタ ーンの低い1950年代型のより単純なリテールバンキングに回帰しよう としているようだ」と話す。

逆戻り

シティグループの銀行アナリスト、リー・グッドウィン氏は「英 国の銀行の株主資本利益率(ROE)の目標水準は既に控えめだが、 一連の改革で目標を達成するリターンを上げるのがさらに難しくなる 公算が大きい」と分析。「英国の流動性基準は最も厳しく、資本規制が 最も厳しい国の一つでもある。英銀の競争力と融資に影響が出るのは 間違いない」と語る。

英銀2位のバークレイズは過去30年のROEの平均が18%だっ たのに対し、今年6月末時点では5.2%にとどまった。今年2月の段階 で目標を13%に引き下げたばかりだった。