「有事の金」上昇がヘッジファンドを底上げ-8月、CTA戦略で鮮明

国際金価格の上昇で、コモディティ ーで運用するCTA(金融商品先物)戦略などのヘッジファンドが恩恵 を受けている。欧州債務危機や米国の低金利政策が表面化する中、「有 事の金」の組み入れが寄与した。金相場については当面、上昇を予想す る声が多いが、価格変動の激しさに注意を要するとの指摘もある。

ヘッジファンド調査会社GFIAのピーター・ダグラス氏は、最近 の金相場は「変動が激しくトレーディングが上手ければ利益はあげられ る」という。金先物は6日に1オンス=1920.70ドルと過去最高値を更 新。ユーリカヘッジによると、8月の世界のヘッジファンド指数が1.9% のマイナスとなる中、CTA戦略は0.1%のプラスだった。

オリックス・コモディティーズ・ファンドの8月の運用結果は3.5% のプラス。同ファンドに助言するオリックス・インベストメントの森敦 仁氏は、運用収益が好調だった要因について「圧倒的に金」だったと説 明する。価格上昇(金利低下)トレンドに入った債券や金を買い持ちす る一方で、株式先物を売り持ちしたことが寄与したという。

森氏は金価格について「昔は400ドルが天井といわれてきたが、今 後1800-2000ドル台で定着する可能性はある」という。原油価格の上 昇は物価に波及し消費者に影響するため抑制する力が働く。一方、金や 債券価格の上昇(金利低下)は、そうした側面が弱く「上昇を止めよう とるす力があまり働かない」と分析している。

1オンス=3000ドル予想も

米国では連邦準備制度理事会(FRB)が、8月に今後2年間は超 低金利政策を維持すると表明した。これを受け、スーパーファンド証券 (東京)のヨハン・ピーター・サンター社長は、資金が預金や国債に流 れにくい状況が続き、今後1-2年で金が3000ドルに上昇する可能性 もあると予測している。

こうした中、オーストリアのスーパーファンドグループが世界の株 式でシステム運用するファンドの8月の運用収益は、金価格連動タイプ が13.5%。一方、連動しないユーロ建ては1.1%だった。サンター氏に よると同社では、顧客に1オンス=370ドルのころから金建ての価値を 説明してきた。

英クオリティ・キャピタル・マネジメントのアレフ・カリム最高経 営責任者(CEO)は8月の運用収益について、3.3%のマイナスだっ たが、金の運用が1.6%のプラスで損失拡大は免れたという。フォー・ エレメンツ・キャピタル・マネジメントのファンドでも金で1%分を稼 ぎ0.29%のマイナスにとどめることができたとしている。

CTAファンド指数であるアストマックス・コモディティは8月に

1.8%上昇した。アストマックスの江守哲チーフファンドマネージャー は、年内にも世界の上場商品を投資対象とする新ファンドを投入する計 画を明らかにした。テスト運用の成果は1年間で18%程度。8月は金の 運用などが寄与し5%のプラスとなったという。

ただ、ファンド・オブ・ファンズに運用助言するケートスの越田聡 子リサーチアナリストは、「CTAなどが、金のみに過剰な投資をする のは分散やリスク管理面で問題がある」と指摘。中長期的には、ボラテ イリティー(価格変動率)を十分考慮して資産配分する必要があると警 戒している。