キャリートレード、1年余りでリターン最悪-景気減速が響く

米ドルと円で借り入れた資金をオ ーストラリアとブラジルの資産購入に充てるキャリートレードのリタ ーンが世界的な景気減速に伴い1年余りで最悪となっている。

低金利の通貨を使って高金利の24カ国・地域の通貨を買い入れる キャリートレードを対象とするスイスの銀行UBSの指数は、今月

2.6%低下。7月は3.1%下げ、8月は2.2%低下だった。2カ月連続 の下げとしては2010年5-6月以来の大きさとなった。

ブルームバーグ相関加重通貨指数によれば、米ドルは先進国の9 通貨から成るバスケットに対し8月1日に付けた今年の安値から

5.5%上昇、円は同日から4.1%上げている。トレーダーらは商品相場 下落や株安、米経済の低迷、欧州のソブリン債危機で年初に高金利の 恩恵を受けていた通貨の魅力が薄れるとみている。

米連邦準備制度理事会(FRB)はフェデラルファンド(FF) 金利の誘導目標を0-0.25%とし、日本銀行は無担保コールレートを 0-0.1%程度で推移するよう促している。これに対しノルウェーの政 策金利は2.25%、豪州は4.75%、ブラジルは12%だ。

モルガン・スタンレーの欧州為替戦略責任者、イアン・スタナー ド氏(ロンドン在勤)は6日の電話インタビューで、「リスク回避が市 場の大きなけん引力となっている。これが円と米ドルにとってプラス となる可能性が高い」と述べた。

成長鈍化

キャリートレードのリターンは景気回復が強まるとの楽観的な見 方から、今年1月末から4月末までプラス2.1%だった。豪ドルとノ ルウェー・クローネはこの間、米ドルに対し10%上昇。ブラジル・レ アルは5.8%上げた。こうした通貨は対円では少なくとも4.7%上昇と なっていた。

経済成長が鈍化するにつれキャリートレードは勢いを失い、投資 家は準備通貨として圧倒的な地位を誇る米ドルの安全性と経常黒字を 続ける日本の円を求めるようになっている。

ブルームバーグのデータによれば、円で借りた資金の豪ドルへの 投資のリターンは7-8月にマイナス4.2%となった。4-6月(第 2四半期)はプラス1.8%だった。米ドルで借りた資金のカナダ・ド ル建て証券への投資は7-8月にマイナス1.3%、4-6月期はプラ ス1%だった。

4月に年初来高値の509.89を付けたUBSのV24キャリー指数 は9月9日、453.36と09年3月以来の安値を記録。当時は日本がリ セッション(景気後退)だったほか、米国では景気を支えるためFR Bがいわゆる量的緩和第1弾(QE1)として米国債を買い始めてい た。

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