シュタルク氏辞任で揺らぐ「ドイツの関与」-ECBと救済策に不安

欧州中央銀行(ECB)のシュタ ルク理事がECBによる国債購入に抗議して辞意を表明した。ドラギ 次期総裁は、ユーロ圏の債務危機との闘いでECBが先頭に立ち続け ることが難しくなったと感じることになろう。

ギリシャのデフォルト(債務不履行)観測が広がり、ECBに対 して市場の緊張を和らげるために国債購入を増額し、金利上昇の流れ を変えるよう求める圧力が高まっている。しかし、シュタルク理事の 衝撃的な辞意表明によって、ECBが迅速に行動する能力を損ないか ねない政策担当者間の対立が公に露呈したと、エコノミストらは指摘 している。

ウニクレディト・グループのユーロ圏担当チーフエコノミスト、 マルコ・バリ氏は、ECBによる追加刺激策へのドイツの反対もあっ て、11月1日に総裁に就任する際にドラギ氏が金融緩和の方向に傾く のが難しくなると予想する。

バリ氏は「イタリア人の総裁がやって来た。金利を引き下げ、国 債購入を大規模に行うに違いないと、ドイツ人が言い出すのは予想に 難くない。ドラギ総裁はタカ派(物価重視派)のスタンスに傾き過ぎ て失敗する方をむしろ選ぶ公算が大きい。それは彼が利下げに消極的 になる可能性を意味する」と話す。

最後の砦

ユーロ圏各国政府が財政赤字の解決と銀行の再編、高債務国の救 済基金強化に関する決定をためらう中で、ECBは債務危機との闘い の主たる担い手となってきた。だが、シュタルク理事の辞任は、ユー ロ圏の安定のために必要な行動を取るというECBのコミットメント (積極的な関与)に疑念を生じさせ、市場をさらに動揺にさせた。

ECBの元エコノミストで、現在はノムラ・インターナショナル に勤務するローラン・ビルケ氏(ロンドン在勤)はシュタルク理事の 辞意表明について、「悪いニュースだ。ECBは現在機能している欧州 の唯一の機関であり、安定を支える最後の頼みの綱と期待されている」 と指摘。「ECBの役割がうまく機能するには、介入は強力に行う必要 がある。今回の出来事全体がECBとその決定に人々の関心を集める ことになる」との見方を示す。

誠実な関与

ソシエテ・ジェネラルのユーロ圏経済調査共同責任者、クラウス・ バーダー氏(ロンドン在勤)は、ドイツ出身の政策委員会メンバーの 辞任はドイツ連銀のウェーバー前総裁に続き過去1年足らずで2人目 だとした上で、「ECBへのドイツの誠実な関与に疑いが生じるだろう」 と懸念を隠さない。

一方、コメルツ銀行のチーフエコノミスト、イエルク・クレーマ ー氏はユーロ圏の救済基金に対するドイツの世論が硬化すると予想さ れ、各国政府による危機対応が難しくなると発言。欧州の救済スキー ムがドイツの有権者の間でさらに評判を失い、救済政策に対する投資 家の信認が長期的に低下する恐れがあると警告している。

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