PIMCO、信用商品戦略が裏目-低迷の理由は米国債だけじゃない

米パシフィック・インベストメ ント・マネジメント(PIMCO)が運用する世界最大の投資信託 「PIMCOトータル・リターン・ファンド」は、競合する投信と 比べると今年の運用成績は1995年以降で最悪だ。運用者のビル・グ ロース氏の米国債売りという判断だけが、成績悪化の原因ではない。

8月の当局への届け出によれば、グロース氏は米企業の信用リ スクの指数に4-6月(第2四半期)にほぼ110億ドル(約8500億 円)を賭け、ソブリン債保証関連の投資を増やし、インフレ連動の イタリア国債に13億ドルを投じた。

グロース氏は2010年6月以降、2450億ドル規模のトータル・ リターンの金利変動に対する脆弱(ぜいじゃく)性を減らすととも に、投資の軸足を米国債から社債と米国以外のソブリン債に移して きた。だが米国の景気が鈍化し欧州の債務危機が悪化する中、投資 家が米国債の安全性を求め、PIMCOが賭けていたような債券を 売却したことで、こうした戦略が先月、裏目となって表れた。

ブルームバーグがまとめたデータによれば、トータル・リター ンは8月、競合投信の89%に劣る実績となった。9月8日までの年 初来では67%の投信に負けている。リッパー・アドバイザリー・サ ービシズの責任者、A・マイケル・リッパー氏は電話インタビュー で、「米国債が注目されているが、信用商品の成績が良くなかった ことが真の問題だ」と述べた。

届け出によると、企業の借り手や自治体、米国以外の政府に関 連する債務でトータル・リターンが発行したプロテクションは6月 末時点で436億ドルと、1年前の196億ドルから増加した。

CDS

トータル・リターンの開始は1987年5月だが、ブルームバーグ が競合投信との比較でランキングを始めたのは95年。それ以後で今 年は相対的に最悪の運用成績だ。

ブルームバーグがまとめたデータは、トータル・リターンの配 当を含めた投資収益率がマイナス0.3%と、競合投信の59%に運用 成績で劣った99年以降、グロース氏は収益率をマイナスとした年は ないことを示している。2010年の収益率はプラス8.8%で、競合投 信の82%に勝る成績だった。

トータル・リターンは配当を含めた今月8日までの年初来収益 率がプラス3.9%だが、ベンチマークとする「バーキャップUSアグ レゲート・トータル・リターン・バリュー指数」の6.6%上昇に後れ を取っている。同ファンドは10年3月31日までの10年間の年間収 益率が平均プラス7.2%と、バーキャップ指数の6.3%上昇を上回っ ていた。

PIMCOの広報担当マーク・ポーターフィールド氏は、コメ ントを控えている。

グロース氏は、米国債を社債や新興市場債、政府機関以外の住 宅ローン担保証券と入れ替える戦略を打ち出していた。こうした債 券は、金利変動に米国債ほど左右されず、それ故に米国の量的緩和 策にもそれほど大きな影響を受けないと説明していた。

同氏は、実際の債券に投資するより、クレジット・デフォル ト・スワップ(CDS)を活用する戦略を選好。PIMCOは債券 の発行体がデフォルト(債務不履行)となった場合、額面相当の保 証を支払うことで合意する見返りにプレミアム(保証料)を受け取 る。

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