米大統領:雇用創出で4470億ドルの支出・減税を提案-議会で演説

オバマ米大統領は議会に対し、イ ンフラストラクチャー(社会基盤)への支出や教員の解雇を防ぐため の州政府への支援、労働者と中小企業の経営者の給与税の半減で4470 億ドル(約35兆円)を投入する雇用創出計画を提案した。

同計画のうち半分以上は減税で占められており、政府当局者は議 会の共和党議員にとって魅力的なものになると確信していると述べた。

同大統領は「問題は国家的な危機に直面している中で、われわれ が政治的な騒ぎを停止し、実際に経済を支援するために何かできるか どうかだ」と訴えた。

1050億ドルのインフラ整備案には、学校の近代化と交通プロジェ クト、空き施設の復旧などを盛り込んだ。政権当局者によると、イン フラ支出による経済への影響は大部分が来年表れるが、一部は2013 年になるという。

大統領は上下両院合同会議で「最終的に、米景気回復をけん引す るのはワシントンではなく、米国の企業や労働者だ」と述べ、「だが、 われわれは支援できるし、変化をもたらすことができる」と強調した。

政権の試算では、教育者や臨時職員のレイオフ抑止のための州・ 地方政府への直接支援に充てる350億ドルの支出によって、教員28 万人の雇用が救われるという。

給与税

今回の計画の目玉は給与税の引き下げ。給与の10万6800ドルま でを対象とし、従業員と雇用主側で均等な減税となる。大統領は従業 員負担分を来年、3.1%に引き下げる考え。税率は昨年の合意で2ポ イント引き下げられているが、年末に失効して6.2%に戻る予定とな っている。

企業の新規採用を促し中小企業を支援するため給与税の雇用主負 担分も来年、一時的に引き下げる。企業は給与支払額の500万ドルま でを対象に税率が3.1ポイント引き下げられ、中小企業が恩恵を受け やすい。

退役軍人や半年を超える長期失業者の採用に追加の税額控除を提 案したほか、政府は失業中の就職希望者に対する雇用主による差別を 違法としたい意向。

一致する部分

大統領を頻繁に批判してきたキャンター米共和党下院院内総務 (バージニア州)は大統領案について、中小企業への減税などで一致 する部分があるようだと語った。同院内総務はブルームバーグテレビ ジョンとのインタビューで、「共和党議員がずっと前から提唱してき たことだ」と述べ、同党が従業員への給与税減税の延長を支持する公 算があることを示唆。一方で、州政府への支援などの歳出策は支持し ない考えを示し、「再び放漫財政になるのではと懸念している」と語 った。

ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ ザンディ氏は雇用創出計画がそのまま議会を通過した場合、年末の給 与税減税の終了などを盛り込んだ現行政策と比べて来年の経済成長率 を2ポイント押し上げ、失業率を1ポイント押し下げると予想した。 同氏は大統領の演説前に計画について説明を受けた。

大統領が上下両院合同会議で雇用に関して演説するのは異例。12 年の大統領選挙などに向けた動きが進行する中、有権者にとって最大 の不安材料である雇用を重視し、32分間の演説では議会に自身の提案 を「すぐに」通過させるよう強く求める場面が6回あった。

大統領は今回のイニシアティブのコストはカバーされると述べ、 9月19日にメディケア(高齢者医療保険制度)費縮小などを含めた 約2兆ドルの財政赤字削減策を超党派委員会に提出すると説明した。

大統領は長期失業問題の新たな対策として、半年を超える長期失 業者が州当局から失業保険をもらいながら雇用主負担ゼロで最長8週 間の職業訓練を受けることができる案も打ち出した。