ソニー:「鏡なし」カメラでキヤノン・ニコン猛追-老舗と家電の争い

キヤノンとニコンのカメラ2強が、 ファインダーの電子化で小型軽量化した「ミラーレス一眼」を武器とす るソニーなどに追い上げられている。老舗(しにせ)の2強は発売を手 控えてきたが、カメラ市場の重心は、お手軽サイズながら一眼レフ並み の高画質な写真が撮れるミラーレスに傾きつつある。

市場調査会社BCNの統計によると、今年7月のデジタル一眼の国 内販売台数のうち、キヤノンとニコンのシェア合計は51%と、09年4 月の78%から大幅に低下。この間、ミラーレスは5.4%から41%まで シェアを伸ばした。

ミラーレス機は2008年にパナソニックが他社に先駆け発売。09年 にはオリンパス、昨年にソニーと韓国サムスンがそれぞれ参入した。参 入時期とほぼ重なる09年4月から今年7月までのデジタル一眼の国内 販売シェア動向を見るとオリンパスは4.3%から17%、ソニーは7.9% から15%、パナソニックは5.4%から13%へ、いずれも急成長した。

写真家の山田久美夫氏はこの状況を「覇権争い」と評する。鏡を組 み込んだ「ミラーボックス」はカメラメーカーにとって「特許の塊」だ ったが、その肝腎な部品を外したミラーレスで「家電メーカーが伝統的 なカメラメーカーの領域に浸食し始めた」からだ。

MFグローバルFXA証券のアナリスト、デービッド・ルーベンス タイン氏は、ミラーレスの浸透ぶりは韓国などでも同様とした上で、 「欧米でも受け入れられれば、ニコンとキヤノンにとってはネガティブ な影響が予想され、脅威だ」と述べている。豪マッコーリーグループの 8月23日付リポートによると、10年の世界のミラーレス販売は210万 台と、前年の5.3倍に達した。

iPhoneより小さい

ミラーレスは反射鏡を使った光学式ファインダーを使う従来型の一 眼と違い、電子式のファインダーを搭載。電子式になった分、電池の持 続時間は短くなるものの、鏡のスペースを節約して小型軽量化できる。

日本初の一眼レフを1952年に発売したペンタックスがミラーレス 第1弾として8月末発売した「Q」の縦横サイズは、米アップルのスマ ートフォン(多機能携帯電話)「iPhone4」よりも若干小さい。 ペンタックスのカメラ部門は10月にHOYAからリコーに移る予定。

重さの点でも、Qが約200グラムなのに対し、キヤノンのデジタル 一眼の入門機である「EOS Kiss X50」は495グラムだ。

高木一郎ソニー業務執行役員8月の発表会で「スマートフォンに押 されカメラ市場が浸食されているとの話がある一方、(ミラーレスとい う)新たな市場ができつつある」と力説。世界のミラーレス出荷数が、 3年後には「本格一眼レフの現市場規模である1200万-1300万台に匹 敵するまで伸びるだろう」との、強気の見方を示した。

2強の出方

野村証券金融経済研究所の試算では、キヤノンは前期(10年12月 期)で590万台のデジタル一眼を販売し、1148億円の利益を稼いだ。 一方、携帯電話などとの競争で低価格化が激しいコンパクトカメラは 2100万台売れたにもかかわらず、利益は239億円にすぎないという。

野村金融経済研によると事情はニコンも同様で、デジタル一眼とレ ンズの販売により、11年3月期で457億円の利益を上げたもようだ。

エース経済研究所の安田秀樹アナリストは「カメラメーカーとして は新興で、ミラーレスを足がかりに攻められる」ソニーと、既存の大手 であるキヤノンやニコンではスタンスが違うと指摘。さらに「キヤノン とニコンはブランド力があり、世界の市場ができてから参入しても間に 合う」と解説している。

キヤノン広報担当の本郷隆文氏は「小型軽量化は最も強いニーズの 一つ。ミラーの有無にかかわらず、この課題に取り組み続けている」と 回答。ニコン広報担当の鈴木さやか氏は「新世代カメラの開発はほぼ終 了しており、世界の市場動向を見ながら投入時期を検討中」と説明しつ つも、新世代機がミラーレスかどうかは、コメントを避けた。