米国債:10年債利回り過去最低―欧州債務危機で安全資産に需要

6日の米国債市場では10年債利 回りが過去最低を更新した。ユーロ圏の債務危機による金融機関への 影響が懸念され、最も安全とされる米国債の需要が高まった。

30年債利回りは2009年1月以来の水準に下げた。バーナンキ 米連邦準備制度理事会(FRB)議長が今週の講演で、償還期限の短 い国債の保有を減らして長期債を購入する計画を示唆するとの観測が 背景にある。FRBのエコノミストが作成した金利と成長、インフレ の予想を含む金融モデルによれば、10年債が最も過大評価されてい る。

ウンダーリッヒ・セキュリティーズのマネジングディレクター兼 米国債トレーディング責任者、マイケル・フランゼーズ氏(ニューヨ ーク在勤)は「債務危機拡大の勢いが弱まっていないことが不安視さ れている」と指摘し、「世界的な株安で、質への逃避が起こった。F RBは景気を刺激するために何らかの措置を取る必要に駆られるだろ うが、米国債購入はその唯一の手段だ」と述べた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによると、ニューヨーク時 間午後5時21分現在、指標となる10年債利回りは前営業日比ほぼ 変わらずの1.98%。同年債(表面利率2.125%、2021年8月償 還)価格は101 1/4だった。

過去最低利回り

10年債利回りは一時1.9066%と過去最低を記録した。30年 債は上昇し、利回りは3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポ イント)低下の3.27%。利回りは一時3.18%と約2年ぶりの水準 に低下した。2年債利回りはほぼ変わらずの0.196%。

5年債利回りは2bp上げて0.88%。米供給管理協会(ISM) が発表した8月の非製造業総合景況指数が予想に反して上昇したほか、 FRBは同年債の保有を拡大しないとの観測が背景。

ISM非製造業総合景況指数は53.3と、前月から上昇した。ブ ルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は51だった。同 指数で50はサービス業活動の拡大と縮小の境目を示す。

米労働省が2日発表した8月の雇用統計によると、非農業部門雇 用者数は前月から変わらず、失業率は9.1%にとどまった。

「他より安定」

ジャニー・モンゴメリー・スコット(フィラデルフィア)のチー フ債券ストラテジスト、ガイ・リーバス氏は「ISM統計は悲観的な 現状を変えるものではないが、経済活動の部門によっては他より安定 していることが見受けられる」と指摘した。

この日の米国債は長期債を中心に上昇した。FRBが「オペ レーションツイスト」と呼ばれる措置で景気を下支えするため長期債 を購入する可能性があるとの憶測が出たことが背景。

ソシエテ・ジェネラルの米国債トレーダー、ショーン・マーフィ ー氏は、「バーナンキ議長は状況が悪化するのを放置することはない だろう」と述べ、「市場は議長がさらなる緩和策を提供しやすい情勢 になった。現在最も実行性が高いのはツイストオペだ」と指摘した。

FRBは6日、13年4月から14年2月にかけて償還を迎え る国債を7億3000万ドル購入した。購入は、保有国債の償還金を再 投資することで金融引き締めを回避する政策の一環。

バーナンキ議長講演

バーナンキ議長は8日にミネアポリスで、米経済見通しについて 講演する予定。今月20日から2日間の日程でFOMC会合が開かれ る。本来は1日の予定だったが、景気や当局の政策措置に関する「よ り十分な議論が可能になる」との理由で2日間に延長された。

野村ホールディングスの金利戦略責任者、ジョージ・ゴンキャル ベス氏は「投資家は現在、利回り目当ての購入はしていない」と指摘。 「危機が始まった当初より一段とレバレッジ解消を進める段階にあり、 国債買いの意欲は依然として高い。つまり世界的に信用懸念が残って いるということだ」と述べた。

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