欧州銀行株への売り圧力強まる-08年のリーマン禍想起させる市況

米証券リーマン・ブラザーズ・ホ ールディングスの破綻から3年経った今、欧州の金融株には売り圧力 が強まり、銀行の債券保証コストは過去最高水準にあり、銀行関係者 は当時との類似点を見いだし憂慮している。

欧州の金融株に関するブルームバーグの指数は5日に5.6%下落 し、2009年3月以来の安値を付けた。銀行の貸し渋りの度合いを示す 指標は同年4月以来の高水準に上昇。

ドイツ銀行のヨゼフ・アッカーマン最高経営責任者(CEO)は 足元の市況は08年後半を想起させるとし、大恐慌以来最悪の世界的 なリセッション(景気後退)の引き金となった金融危機の再発防止に 向け、措置を講じるよう政治家に強く求めた。欧州首脳がソブリン債 危機に歯止めをかけられるのか疑問が広がり、5日の市場でギリシャ とポルトガル、スペイン、イタリアの債券利回りが上昇した。

アッカーマンCEOはフランクフルトでの会議で、「責任ある立 場の人たちが今回の危機克服に向け必要な意志力を発揮できるかだけ でなく、十分な時間と必要な資源があるのかどうかについても投資家 は自問している」と指摘。「合意が迅速かつ完全に実行できるかにつ いて不透明感が続く限り、市場の緊張感は消えない」との見方を示し た。

フィンランドを中心に新たなギリシャ向け融資に担保を求める動 きと欧米での景気悪化、イタリアなどユーロ参加国による緊縮財政策 への姿勢後退で、危機封じ込めに向けた取り組みが損なわれる恐れが ある。

政治の方向性

金融市場の混乱を受け、9、10両日にフランス・マルセイユで開 催される主要7カ国(G7)財務省・中央銀行総裁会議では一段の措 置を求める圧力が強まる見通しだ。

DZバンクの責任者、ウォルフガング・キルシュ氏は5日、フラ ンクフルトで開かれた会議でのインタビューで、「欧州問題への対処 で政治の方向性が明確にならなければ、市場は非常に厳しい状況に突 入するだろう」と話す。

46銘柄で構成するブルームバーグ欧州銀行金融サービス指数は過 去2営業日で約10%下落し、09年3月31日以来の安値を記録した。 JPモルガン・チェースによると、欧州の銀行・保険25社の優先債 に連動するマークイットiTraxx金融指数は13ベーシスポイン ト(bp、1bp=0.01%)上昇の259bp。

銀行の貸し渋りの度合いを示す指標となる3カ月欧州銀行間取引 金利(EURIBOR)とOIS(オーバーナイト・インデックス・ スワップ=翌日物無担保コールレートと固定金利を交換する金利)の 格差(EURIBOR・OISスプレッド)は77bpと、09年4月 以来の高水準となった。

リーマン破綻時との違い

リーマン破綻時には信用市場は凍結状態となり、欧米の銀行は公 的資金による救済を余儀なくされた。当時の問題は米住宅ローン担保 証券(MBS)だったが、今回は債務負担が重い欧州諸国の国債に関 するものだ。

KfWグループの責任者、ウルリッヒ・シュレーダー氏は5日の フランクフルトでの会議で、「状況は08年よりもはるかに劇的な展 開となっている」と指摘。多くの国は財政赤字問題のため同様の危機 で銀行を救済できる状況ではないとし、銀行は「危険区域外にはない」 と警告した。