【クレジット市場】世界の国債市場が「日本化」、利回り低水準に収束

日本国債の利回りはもはや、世 界最低ではない。スイスと米国、ドイツ国債の動向が日本に近づき、 4市場は少なくとも2年で最も近い状態にある。

スイスの10年債利回りは先月、1994年以来で初めて日本国債 を下回った。10年物米国債の利回りは2日に日本国債を95ベーシ スポイント(bp、1bp=0.01%)上回っていた。差は2009年 1月以来で最小。ドイツ国債と日本国債の利回りも1990年以来の僅 差になっている。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は事実上のゼロ金利を2013 年まで継続する方針。ソブリン債危機で欧州中央銀行(ECB)の追 加利上げの可能性も遠のいたことから、世界的に債券の需要が高まっ た。

みずほ投信投資顧問で運用に携わる中村博正氏は、米欧経済が日 本と同じ苦境に陥るリスクがあると指摘する。日本は1995年以来

0.5%未満の低金利を維持しているにもかかわらず、成長てこ入れに 成功していない。米欧経済も脆弱(ぜいじゃく)なことから、質への 逃避による債券相場の上昇は続くだろうと同氏はみている。

米労働省が2日に発表した8月の雇用統計によると、非農業部門 の雇用者数は前月比変わらず。2010年9月以来の弱い数字となった。 同日の米10年債利回りは1.9806%と過去最低の1.9735%に接近 した。

日本の10年国債利回りは5日に1.015%。2日のドイツ債利回 りは2.01%、スイスは0.982%だった。

「ソブリンのボンドしかない」

米国では銀行融資の需要が預金の伸びに遅れを取っている。米銀 の預金と融資の格差は先月、過去最大の1兆6100億ドル(約120 兆円)となった。日本でも格差は過去最大に近い。

みずほコーポレート銀行国際為替部のマーケット・エコノミスト、 唐鎌大輔氏は「日本でさんざん言われているのは、貸出先がないから 預金を国債に振り向けるしかないということ」だが、「米国の資金循 環統計を見ていると、まったく同じことが起こっている」と指摘。

さらに、他国でも「同じことで、結局、手元にある現金を現金の まま置けば利回りを生まないので、どこに置くかとなった時、ソブリ ンのボンドしかないという話に多分、どこの国でもなっている。いわ ゆるそれが日本化と言われている話だ」と解説した。

米国の銀行による米国債と政府関連証券の保有は8月24日時点 で1兆6700億ドルと、30年間の平均(7430億ドル)の倍以上だ った。

景気けん引を外国に依存する日本

年限10年以上の国債は8月にプラス3.38%のリターンを投資 家にもたらした。バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの 指数が示した。

米国の景気減速の兆候と欧州債務危機の悪化を背景に、安全資産 と見なされる円やスイス・フランが上昇。両国の輸出に打撃を与えて いる。

財務省の2日の発表によると、日本企業は4-6月(第2四半期) に設備投資を8.2%減らした。エコノミストは0.7%増を予想して いた。このデータを受けてクレディ・スイス・グループは、日本の今 年の成長率予想をマイナス1.1%に下方修正した。従来は0.8%の 縮小を予想していた。

野村総合研究所の井上哲也主席研究員は、日本は「景気を引っ張 り上げてくれる力が外頼みであるので、海外の景気がスローダウンす るとその影響も受けてしまう」と指摘。日本銀行は日本経済の「負担 を軽減する方向での対応を求められる」ことから、「日銀の利上げは 相当先だろう」と付け加えた。

To contact the editor responsible for this story: Rocky Swift at rswift5@bloomberg.net

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