インドの国有企業:トランプ遊びする従業員も-解雇・資産売却は困難

インドの国有企業ヒンドゥスタ ン・ケーブルズの工場では、毎日約2800人の従業員がタイムカードを 押す。給与を支給され、時には昇給し、補助制度のある社員食堂で飲食 もできる。ただ、これらの従業員たちは何も製造していない。

コルカタを拠点とするヒンドゥスタン・ケーブルズは2004年以降、 ケーブルを製造していない。携帯電話技術の普及で配線技術は時代遅れ になってしまい、損失は5億4900万ドル(約420億円)に上る。世界 銀行によると、インドの労働法は他国と比較して最も規制が厳しく、破 産手続きは複雑だ。旧ソ連型の計画経済の名残で、政府は仕事のない 従業員を解雇したり機器や土地などの資産を売却したりすることができ ない。

不採算企業の存在を容認するのは世界で2番目に高い経済成長率を 誇るインドの立場とは相いれないが、相次ぐ汚職スキャンダルに揺れる シン政権は多くの雇用の維持につながっているこの規則の変更に慎重な 姿勢を示しているのかもしれない。コンドームや鉄鋼などあらゆる製品 を製造するインドの国有企業249社のうち約3分の1が損失を計上して いる。損失額は直近の事業年度で34億ドルに上る。

一方、インド政府は同国最大の探鉱会社、石油天然ガス公社 (ONGC)などの企業の株式の売却を通じて今年87億ドルを調達する 目標を達成できていない。

シン首相の経済諮問委員会の4人の委員のうちの1人、Mゴビン ダ・ラオ氏は「完全に常軌を逸しており、皆それを分かっているが、労 働法のために政府ができることは何もない」と指摘。「インド政府は文 字通り資金を無駄にしている」と語る。

ヒンドゥスタン・ケーブルズの会長兼マネジングディレクター、キ ショア・ルングタ氏はコメントを控えた。

トランプ遊び

インド政府は多くの国有企業で生産を停止しているが、プラントを 閉鎖する予定はない。従業員100人を超える企業は工場を閉鎖する場合、 労働省の承認を得なければならない。10年の公営企業調査によると、 国有企業については21回この許可が下りているが、どの企業も清算さ れていない。

公営企業再建委員会のニティッシュ・セングプタ委員長は「これら の企業の一部では従業員はのんびりとトランプをしている」と指摘。 「企業の閉鎖は、再生に向けたあらゆる厳しい選択肢を取った後の最後 の手段だ」と述べた。

オクサス・ファンド・マネジメント(ニューデリー)のスルジッ ト・シン・バーラ会長は、シン連立政権は損失を出している企業の閉鎖 を容易にするために規則を変更すべきだと指摘した上で、失業への懸念 から近いうちに実現する可能性は低いとの見方を示した。また、政治家 にとっては選挙区での個人的な政治基盤を脅かすことになるため、企業 の閉鎖に合意しない場合が多いだろうと述べた。

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