米司法省のTモバイル買収阻止、AT&T和解見込み薄-法廷闘争へ

米通信大手AT&Tが独通信大手ド イツテレコムの米携帯電話サービス子会社TモバイルUSAを390億 ドル(約3兆円)で買収する計画について、米司法省が差し止めを求 めて提訴した。AT&Tが司法省との交渉で事態を打開できる見込み は薄く、残された唯一の手段は法廷闘争だけだと法律専門家らは指摘 している。

ワシントンの連邦地裁に8月31日提出された訴状によれば、米政 府はAT&TによるTモバイル買収が反トラスト法(独占禁止法)に 違反し、無線通信市場での「競争を著しく低下させる」と主張。買収 手続きの差し止めを命じるよう求めている。

米携帯サービス2位のAT&Tは、ランドール・スティーブンソ ン最高経営責任者(CEO)が今年3月に同4位のTモバイル買収を 発表。合併が実現すれば、ベライゾン・ワイヤレスを抜いて首位に躍 り出るとともに、3位のスプリント・ネクステルを引き離すことにな る。

米政府は訴状で、「AT&TがTモバイルを買収し、低価格でサー ビスを提供する独立企業のライバルがいなくなれば、市場の競争力が 著しく損なわれる」と訴えた。提訴のニュースを受けて、AT&Tの 株価は最大5.5%急落した。

譲れない一線

ワシントンのハワード大学で反トラスト法を教えるアンドルー・ ガビル氏は「違約金の大きさを考えると、AT&Tには闘う強いイン センティブが働くはずだ。ただ、司法省が計画の差し止めを求めてい るという事実は、ある時点で和解を取りまとめる意思がないことを意 味してはいない」と話す。

一方、米独占禁止法調査協会(AAI)のバート・フォー代表幹 事は31日のインタビューで、和解の余地はないとの見方を示し、「彼 らは譲れない一線をはっきりと示した。和解がもし可能なら、司法省 はそれについて話していることだろう」との見方を示す。

AT&Tの法律顧問ウェイン・ワッツ氏は発表文で、「司法省と何 度も協議の場を持ったが、今回の法的措置を検討していることを全く 示唆していなかった」として、同社が裁判で争う考えであることを明 らかにした。