欧州救済基金、ECBに劣る機動力-政治的要求が有事の対応阻害も

【記者:Brian Parkin、James G. Neuger】

9月1日(ブルームバーグ):ユーロ圏高債務国の救済基金である 欧州金融安定ファシリティー(EFSF)は、その能力・権限を拡充 する首脳会議の決定を各国が批准する手続きが進んでいるが、有事の 緊急対応能力を阻害しかねない政治的要求に直面している。

26日付の法改正案によれば、EFSFは流通市場で高債務国の国 債を買い入れるに当たって、当事国の正式申請を待つ必要がある。欧 州中央銀行(ECB)は過去1年4カ月の間に1155億ユーロ(約12 兆8000億円)相当の国債を購入し、市場を買い支える役割を果たして きたが、EFSFの買い入れに追加的な手続きが加わり、ドイツ議会 も決定への関与を求めていることで、ECBほど機敏な対応が期待で きなくなる恐れがある。

ドイツのシンクタンク、国際政治安全保障研究所のシニアアナリ スト、ダニエラ・シュバルツァー氏は「表向きは有事の際に迅速に対 応する能力が備わっているとしても、機動力でECBにはるかに劣る のは明らかだ。事が起きれば、これまでもそして現在も救済行動の実 質的な担い手であるECBに賭けたいと思うだろう」と話す。

ユーロ圏首脳は今年7月、EFSFに国債購入のほか、予防的な 信用供与や銀行への資金支援の権限を新たに認めることで合意した。 当事国が国債買い入れを申請する必要性は首脳会議の声明には盛り込 まれていない。ギリシャ支援の担保をフィンランドが要求している問 題も、EFSF改革の最終的な承認のつまずきになるとみられる。

バークレイズ・キャピタルの欧州担当チーフエコノミスト、ジュ リアン・キャロー氏も「政治的対立が深刻な害を及ぼしている。新生 EFSFの発足後の実効性が損なわれようとしている」と批判的だ。