米テキサス州を拠点とする石油会 社EOGリソーシズが昨年、ウィスコンシン州の牧畜業者ケン・シュミ ットさんの近所にやって来て作業を始めた。それ以来、シュミットさん は自動車で街へ行く時、毎回EOGの作業所の光景に目を見張ってい る。シュミットさんの注意を引くのは石油リグ(掘削装置)ではない。 「そこには、ものすごい量の砂が積み上がっているんだ」と語る。

ウィスコンシン州北西部に位置するチッペワ郡(人口約6万人)を 囲む緩やかな丘陵地帯の下には、石油業界が欲しくてたまらない純度の 高い石英砂が堆積している。この砂は、シェール(頁岩層)を粉砕する 水圧破砕の技術を利用する際、高圧で吹き付ける水と化学薬品の一部と して利用される。この小さな砂粒が、油ガス井を掘削する際に岩を砕く 役割を果たす。

石英砂の価格が高騰する中、EOGなどの石油会社はウィスコンシ ン州などで自社採掘を開始したと、ブルームバーグビジネスウィーク誌 8月1日号は報じている。

水圧破砕の普及で石英砂の需要が急増している。ペンシルベニア州 のマーセラス・シェールにある平均的なガス井で約500万ポンド(約 2270トン)の砂が利用される。これは、フットボール場1つを1フィ ート(約30.5センチメートル)の深さまで覆うのに十分な量だ。プロ ッパントと呼ばれるこの砂の売上高は2009年から10年の間に81%急 増し、今年は30%増加すると石油アナリストらは予想する。

削られる丘

水圧破砕サービス提供で世界最大手の米ハリバートンによると、水 圧破砕の利用は2000年以降10倍に拡大した。グローバル・ハンタ ー・セキュリティーズ(ヒューストン)のアナリスト、ブライアン・ウ ルマー氏によれば、この業界で利用された砂の量は昨年最大590億ポン ドで、今年は750億ポンドに達するとみられる。

長期にわたって水圧破砕を批判している人々は、掘削場所の大気や 地下水が汚染されると指摘する。これらの人々は、アーカンソーやウィ スコンシン、テキサスなどの州で次々と開発されている砂の採掘場でも トラックの通行や砂埃による被害が出ると反対姿勢を強めている。ウィ スコンシン州では一部の土地所有者が砂の採掘のために美しい丘陵地帯 が削られ、砂の処理に利用される化学薬品が環境に影響を及ぼすことを 懸念している。

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