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国内生産は震災からの回復着実、消費は9か月連続減-失業率悪化

6月の国内生産は、東日本大震災 に伴う落ち込みから着実に回復しつつあることを示した。震災で寸断 されたサプライチェーン(供給網)の急速な復旧や生産設備の修復な どが企業活動の正常化を後押しした。一方、震災後の自粛ムードが尾 を引く消費支出は9か月連続して前年割れとなった。

経済産業省が29日発表した鉱工業指数速報(季節調整済み、2005 年=100)によると、生産指数は前月比3.9%上昇の92.7となった。 市場の事前予想の4.5%上昇には及ばなかったが、過去最大となった 3月の落ち込みから3か月連続でプラスを持続。特に、震災の打撃が 大きかった自動車やトラックなど「輸送機械工業」が同18.5%上昇と 業種別では最大の伸びをみせた。

日本政策投資銀行の田中賢治経済調査室課長は今回の結果につ いて、「5、6月と速いペースで持ち直した」と指摘した上で、「生産 設備の復旧と寸断されたサプライチェーンの修復が、急ピッチで進ん だ」ことが背景にあるとの見方を示した。

先行きの生産動向を示す製造工業生産予測指数は、7月が前月比

2.2%上昇、8月は同2.0%上昇と、ペースは鈍化するものの、引き続 き回復歩調が見込まれている。みずほ証券の土山直樹マーケットエコ ノミストが予測指数を基に行った試算では、8月の生産水準は震災前 の2月の「99%まで回復することになる」という。

海外経済や円高が影

回復基調が今後も持続するかどうかの鍵の一つは海外経済の動 向。田中氏は「欧米経済のもたつきだけでなく、中国経済にも一部に 弱い動きが見られ始めており、海外経済がさらに減速するようだと、 輸出が伸び悩む可能性がある」と指摘。為替市場での円高基調につい ても「外需の伸び悩みを通じて、生産の回復に歯止めが掛かる可能性 がある」との見方を示す。

一方、国内では定期点検中の原子力発電所の再稼働問題で、先行 きの電力不足に懸念が出ている。農林中金総合研究所の南武志主任研 究員は「夏本番を迎えて電力不足問題が全国的に広がったこと、かつ それが慢性的なものとなる可能性が濃厚なこと」をリスク要因の1つ に挙げている。大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストは火力発電の 代替使用に伴う燃料コスト増加で電力料金が値上がれば、電力需要の 減少を招き、生産の低下につながりかねないとみている。

一方、総務省が同日発表した6月の家計調査によると、2人以上 の世帯の消費支出は26万5807円。前年同月比4.2%減(物価変動を 除いた実質)となり、昨年10月から前年割れが続いている。

ただ、前月比では0.8%増加した。第一生命経済研究所の新家義 貴主席エコノミストは統計発表前に、消費支出の前月比プラスを予想 した上で、「消費者マインドが持ち直していることに加え、テレビの駆 け込み需要や自動車販売の持ち直しなどもプラスに寄与する」とみて いた。

消費の支えとなる雇用情勢は依然低調。完全失業率(季節調整済 み)は前月から0.1ポイント上昇の4.6%となった。有効求人倍率(同) は前月から0.02ポイント上昇の0.63倍で、一進一退が続いている。

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