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債券反落、高値警戒感や米債務上限の期限接近で-午後に下げ幅縮小

債券相場は反落。高値警戒感から 売りが先行したほか、米国の債務上限引き上げ問題の期限が接近する 中、行方を見極めようとして積極的な買いも手控えられていた。しか し、先物取引の終了にかけて買いが優勢になり、相場は急速に下げ幅 を縮小した。

大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グループリー ダーは、「銀行勢が9-10年ゾーンに売りを出したもよう。きのうは 10年債利回りが一時1.065%まで低下したが、きょうは月末でもあり、 米債務上限問題の期限を前に利益確定売りが出た」と述べた。

現物債市場で長期金利の指標とされる新発10年物の315回債利回 りは、前日比1ベーシスポイント(bp)高い1.08%で始まり、その後 は徐々に水準を切り上げ、午前10時前後に2bp高い1.09%と26日以 来の高水準を付けた。午後に入ると上げ幅を縮める展開で、一時は

0.5bp高い1.075%まで戻した。

10年物の315回債利回りは、前日に1.065%まで低下し、19日に 付けた今年最低の1.06%に接近。その反動のほか、8月2日の10年 利債入札に向けた売りも出ていたもよう。大和住銀投信の伊藤氏は「来 週の10年債入札も意識されたのではないか」と言う。前回入札された 315回債利回りは1.08%で推移しており、表面利率(クーポン)は前 回債より0.1ポイント低い1.1%が予想されている。

中期債も軟調。5年物の97回債利回りは午前に前日比2bp高い

0.385%と、22日以来の水準まで上昇。午後に入ると上昇幅を縮め、 一時0.5bp高い0.37%まで戻した。

スペイン格下げ方向

米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスがスペ インの格付けを引き下げ方向で見直すと発表したことで、午後に買わ れたとの見方も出ていた。岡三証券の坂東明継シニアエコノミストは、 「スペインは、ギリシャと比べて経済規模が大きいのでリスクが高ま る。欧州にとっては厳しい状況で、ユーロも売られている。『質への逃 避』の動きが出やすく債券にはプラス要因」と述べた。

こうした中、米下院のマッカーシー議員(共和党)は、ベイナー 下院議長の債務上限引き上げ法案について28日夜に採決は行わない ことを明らかにした。米下院は28日、ベイナー議長が提案した歳出削 減・債務引き上げ案について、同日夜の採決に持ち込むための動議を 賛成238、反対186で可決していたが、上院ではこれを否決する構え にあった。

三井住友アセットマネジメント債券運用グループの永見哲シニア ファンドマネジャーは、米国の債務上限問題について、「8月2日の期 限までに決着が付く蓋然(がいぜん)性は落ちているものの、そのま ま手を打たない状況が続くと見ている向きはいない」と説明。その上 で、「海外情勢への懸念が強まれば、リスク回避的な円債買いが入りや すくなる面もある」とも語った。

先物は小反落

東京先物市場で中心限月9月物は小反落。前日比6銭安の141円 78銭で開始。午前10時前後から売りが膨らむと、一時は141円54銭 まで下落し、3日ぶりの安値を付けた。しかし、取引終了にかけて、 水準を切り上げ、一時は横ばいの141円84銭まで戻した。結局は1銭 安の141円83銭で引けた。

三井住友アセットの永見氏は、相場反落について、「最近の株式先 物売り・債券先物買いのポジション(持ち高)をいったん解消してい る感じではないか」と分析した。9月物は前日午後に141円89銭まで 上昇して、19日に付けた日中の年初来高値に並んでおり、高値警戒感 も出ていた。

ただ、午後に入って日経平均株価が下げ幅を広げたことを受けて、 先物は下げ幅を縮小した。岡三証の坂東氏は、「米債務上限引き上げ問 題の期限を控えて取引手控え姿勢となっている。朝方に売られた後は、 国内株価が軟調なため、値を戻した」と言う。

28日の米国債相場は上昇。米連邦債務上限引き上げと財政赤字の 削減をめぐるオバマ大統領と下院共和党の交渉停滞が景気に悪影響を 及ぼすとの懸念が強まったことが背景。米10年債利回りは3bp下げ て2.95%。一時は2.93%と約1週間ぶりの低水準を付けた。一方、米 株式相場は下落。S&P500種株価指数は4日続落となった。

生産は7、8月も増加見通し

朝方発表された6月の鉱工業生産指数は前月比3.9%上昇となっ た。ブルームバーグの予測調査では同4.5%上昇が見込まれていた。 7月の製造工業生産予測指数は2.2%上昇、8月は2.0%上昇。

ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎主任研究員は、「電力不足の影響が 懸念されていた7月、8月の生産計画が比較的堅調となっていること は、平日休業・休日操業などを通じて節電による生産活動への影響を 緩和する企業の取り組みが一定の効果を上げていることを示した」と 分析した。

一方、6月の全国消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI) は前年比0.4%上昇した。ニッセイ基礎研の斎藤氏は、コアCPIは 3カ月連続で上昇したが、8月の基準改定後はマイナスに下方改定さ れる見通しと言う。総務省は8月26日発表の7月分から基準年を2005 年から2010年へ切り替える。

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