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ドル下落、米債務上限問題が重し-欧州懸念や円高警戒で売りも限定

東京外国為替市場では、ドルが下 落し、対円では1ドル=78円台前半を中心に上値の重い展開が続いた。 米国で連邦債務上限の引き上げをめぐる与野党間の交渉が難航している ことから、先行き不透明感を背景にドル売り圧力が強まった。

ドル・円相場は朝方の取引で一時78円12銭と、円が戦後の最高 値を付けた3月17日以来の水準までドル安・円高が進行。その後午前 10時過ぎには78円56銭まで値を戻す場面も見られたが、上値は抑え られた。午後3時50分現在は78円38銭付近で取引されている。

午後の取引では、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サ ービスがギリシャの格付けを引き下げたことが伝わり、ユーロ・ドル相 場が一時1ユーロ=1.4343ドルと、午前の高値1.4417ドルから大き く水準を切り下げる場面が見られた。その後は1.43ドル台後半で取引 された。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、ギリシャの格下 げについてはほぼ織り込まれていた感があり、ユーロ売りは限定的で、 米国の債務上限引き上げ問題に市場の焦点が向いていると指摘。米国債 のデフォルト(債務不履行)回避では与野党が共通の認識を持っている と思われるが、目先は「落ち着きどころ」が見えない状況下で、ドルの 上値が抑えられやすいとみている。

一方、日本銀行の白川方明総裁は25日昼、都内で講演し、円高に ついて、海外経済の不確実性の高まりがその背景となっているような局 面では、輸出や企業収益の減少、企業マインドの悪化などを通じて「景 気に悪影響が及ぶ可能性」があり、注意深くみていく必要があると述べ た。その上で、金融政策運営では「必要と判断される場合は適切な措置 を講じていく」姿勢を示した。

野田佳彦財務相も午後の参院財政金融委員会での答弁で、足元の円 高水準について「一方的な偏った動きと認識している。市場をしっかり と注視をして対応していきたい」と述べるとともに、円高を背景とした 産業空洞化は回避しなければならないとの考えをあらためて強調した。

米債務問題を警戒

米国の債務上限の引き上げ問題をめぐっては、オバマ大統領が支持 する計画に対して、共和党が短期間の上限引き上げ措置を強行する準備 を整えていると伝わっている。大統領側も引き上げが2013年にかけて 適用されるものでない限り、その措置に拒否権を発動する考えを堅持し ている。

米下院共和党は債務上限引き上げの交渉に関して協議するため25 日午後2時(日本時間26日午前3時)に会合を開く。関係者が24日 に明らかにした。24日には、オバマ大統領がホワイトハウスで、民主 党のリード上院院内総務、ペロシ下院院内総務と会談。当局者が匿名で 語ったところによると、1時間に及んだ会談では短期間の債務上限引き 上げに反対することを再確認した。

みずほ総合研究所の武内浩二シニアエコノミストは、市場自体はま だ米国債のデフォルトを織り込んでおらず、やや楽観視している面があ るが、目先は債務上限の引き上げについて「政治的にまとまらないかも しれない」という懸念が強まっていると指摘。今回は格付け会社による 米国債格下げの可能性も警戒されており、「市場がショックを被る」リ スクがあるため、ドルの下値不安がくすぶりやすい状況が続くとみてい る。

ガイトナー米財務長官は24日、債務上限引き上げに関する合意の 枠組みで、議会が同日中に合意できるよう期待していると述べた。8月 2日の期限までに上限を引き上げるには下院が25日に審議を開始する 必要があるためだと説明した。ABC放送の番組「ジス・ウィーク」で 語った。

米株価指数先物は時間外取引で、マイナス圏で推移。東京株式市場 でも日経平均株価が4営業日ぶりに反落して取引を終えた。

ギリシャ問題くすぶる

一方、ムーディーズの発表資料では、ギリシャの長期債務格付けを 「Ca」とし、従来の「Caa1」から引き下げた。アウトルック(見 通し)は「デベロッピング」とし、ギリシャの債務交換が終了した時点 で既発・新発債の信用リスクを再査定するとしている。

ムーディーズは、欧州連合(EU)が合意したギリシャ支援パッケ ージについて、民間の債権者にとっての「相当の経済的損失」を意味す るものだと指摘している。

さらに、同社は「公表されたEUプログラムと大手金融機関を代表 する国際金融協会(IIF)の発表は、ディストレスト債務交換、従っ てデフォルトの確率が実質的に100%であることを示唆する」と解説し た。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部の斎藤裕司ディレクターは、 格付け会社がわれ先にギリシャの格下げをしている感があると指摘。そ の上で、「分かり切っていたこと」としながらも、実際に格付けが引き 下げられると市場はユーロ売りに反応すると説明している。

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