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【クレジット市場】RMBSが生保に人気、電力債停止で5年ぶり増へ

住宅金融支援機構の住宅ローン担保 証券(RMBS)に人気が集まっている。原発リスクを背景に電力債発 行が停止する中、高格付けで利回りも高い金融商品として生命保険など が買い進めている。市場では旺盛な需要から2011年の発行額は5年ぶ りに増加に転じるとの見方も出ている。

住宅支援機構が22日発売した51回債は発行額が1727億円で表面 利率は1.64%。10年国債に52bp(1bp=0.01%)上乗せした水準 だ。米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)と格付投資情報セン ター(R&I)からAAAを取得した。AAクラスの国債より格付けが 高い上に、利回りも高い。

RMBSは複数の個人の住宅ローンを束ねて証券化したもので、多 種多様な原契約の性格などから、発行当初は償還期限が決まっていない のが特徴。償還は早まる傾向が強いため、スプレッド(上乗せ金利)は 厚めになる。新生証券の江川由紀雄・調査部長は「人気でスプレッドは タイト化しているとは言え、まだまだ妙味はある」という。

住宅支援機構のRMBSスプレッドは、東日本大震災の直後に発売 した47回債は国債+68bpまで拡大。しかし、強い需要を背景に6月 発売の50回債では55bpと昨秋から震災前までに発行した分の+53- 57bpの範囲内にまで縮小している。

沖縄電力の100億円のみ

明治安田生命保険の高松泰治副社長は、「RMBSを買いたいが、 人気があり過ぎ希望する額をなかなか確保できない」と悲鳴を上げる。 需要が高まる中、S&Pは8日のリポートで11年のRMBS発行額は 5年ぶりに増加するとの見通しを示した。S&Pが10年に格付けした RMBSは約1兆7000億円だった。

S&PではRMBSの基になる住宅ローンも増えるとみている。耐 震性、省エネ性などの基準を満たせば金利が1%優遇される支援機構の 優良住宅取得支援制度(フラット35S)の延長などが理由だ。フラット 35Sは現在、年利1.39-2.39%(当初10年)で提供されており、基準 金利も2年前より0.9%ほど低い。

RMBS人気の背景には、東京電力の福島第一原発事故を受け、従 来は高格付けで、多額の長期債を発行していた電力会社債の発行停止が ある。原発を持たない沖縄電力以外は4月以降起債していない。東電が S&Pなどにより投機的等級(震災前はAAクラス)まで格付けを引き 下げられるなど起債しにくい状況が続いているからだ。

2010年の電力会社による社債の新規発行額は1兆600億円と社債市 場全体の11%。このうち東電債は2350億円で2割を占める。RMBS 市場の6割強の電力債発行市場が機能停止状態となり、福島原発事故が 起きるまでは事業の安定性などから低リスクとみて購入してきた投資 家の資金が他に行き場を求めている。

割合拡大なら警戒も

電力会社は多額の資金を社債で調達してきた。特に首都圏などを配 電エリアに抱える東電は10年、20年など長期安定運用を基本とする生 命が好む高格付けの長期債で賄ってきた。新生証の江川氏らは生保など の資金はいったん高格付けの地方債や政府保証債に向いたが、結局スプ レッドのタイト化しにくいRMBSに流れ込んだとみている。

BNPパリバ証券の野川久芳ストラクチャードクレジット・ストラ テジストはRMBSについて「デュレーション(平均残存期間)が長く 生保からのニーズが一番高い」と指摘。仮に原子力損害賠償支援機構法 の成立後も東電債などの発行が滞れば、「カネ余りの状態となり、この 流れは続くだろう」と予想する。

RMBSの主要な買い手となっている生保について、ムーディー ズ・ジャパンの川田兼司シニアアナリストは、「国債より金利が取れ、 逆ざやが出ている運用の改善にもつながる」と評価。ただ、「国債より 流動性が劣ることから、運用資産に占める割合がある程度大きくなれば 影響を注視していく必要が出てくる」と警戒する。

--取材協力:宮沢祐介 Editor: Kazu Hirano Kenzo Taniai

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