シンガポールのヘッジファンド、ハ ルバディアを経て関西学院大学大学院で行動ファイナンスを教える岡田 克彦教授は、上場企業の業績動向を判断するような定性情報を数値化し 分析することで収益を狙うヘッジファンドを年内にもスタートする考え だ。岡田教授が6日、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで明 らかにした。

岡田氏は「過去10年以上の新聞や通信社のニュースを基に作った独 自の辞書で上場企業の定性情報を定量化して比較することが可能になっ た」と話す。国内に上場するほぼ全銘柄を対象にニュース件数の推移や 業績、製品情報、アナリストコメントなどに使われた「買い推奨」、 「売られすぎ」、「受注好調」といった単語の登場頻度などを集計分析 することで企業を個別に毎日採点する。

採点をもとに高得点の約70銘柄を買い、得点が低い約70銘柄を売 ることで市場中立型の運用をする。さらに自社株買いなどのイベントに 着目することで株価の変動時期を予測し収益獲得の確度を高める。試験 運用のパイロット・ファンドは2003年8月から11年5月末時点で年率 約27%のリターンを示している。同期間の日経平均の上昇率は1.4%だ った。

岡田氏は羽室行信関西学院大学大学院准教授らとマグネマックスキ ャピタルマネジメントを設立し、年内に8億-10億円規模の資金を募り 運用を開始する考えだ。

02年にダニエル・カーネマン氏がノーベル経済学賞を受賞して以 来、決算結果や配当金額といった定量情報だけでなく、市場関係者の感 情や企業の定性情報といった非合理とみられてきたものも考慮し収益を 得ようというヘッジファンドが生まれている。今年、英国ではツイッタ ー上の情報を活用するヘッジファンドが組成され、国内でもブログ情報 などを解析する「プルーガ・AI(人工知能)ファンド」が運用を始め ている。

大和証券キャピタル・マーケッツの吉野貴晶クオンツアナリスト は、言語という定性情報を使った定量分析について、「コンピュータの 性能向上から品詞分解や統計処理は容易になってきた」としながら、信 頼性と正確性を兼ね備えた情報を取得できるかどうかが運用結果を決め るだろうという見解を示した。

定性情報は株価に先行する

岡田氏は、「株価は経済の先行指標といわれるが定性情報は株価変 動の先行指標になる」と話す。個別銘柄の得点を加重平均して指数化し 株式取引の活発度を示すボラティリティ指数と比較すると定性情報を使 った指数が先行することが多いという。

現在の高得点2銘柄は、日産自動車とTOTO。これらの企業には 「増益」や「減益幅が予想より小さい」という単語が頻出し得点につな がっている。低得点の2銘柄は、岡野バルブ製造と船井電機。「業績を 不安視」や「脱税で追徴課税」といった単語がマイナス要因になってい るという。

大震災による原発事故収束に予断を許さない状況が続く東京電力に ついて岡田氏は、「定性情報の得点は4月上旬に底打ちし6月下旬には ほぼ震災前の水準に戻っている」と話し株価の回復が遅れているのかも しれないと指摘した。

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