大き過ぎてつぶせない銀行、リスク評価は恣意的か-内部ルール濫用も

【記者:Liam Vaughan and Howard Mustoe】

6月29日(ブルームバーグ):国際金融監督当局は、世界の銀行が 資産リスクを評価する際の手法のばらつきに注意を払っている。新たな 自己資本規制の負担を和らげるため、銀行が資産リスクの評価で内部モ デルを活用するのではないかという懸念が背景にある。

バーゼル銀行監督委員会は25日、システム全体にとって重要な金 融機関の自己資本の上積み規制で、リスク資産に対する「狭義の中核的 自己資本比率」(コアティア1)を最大9.5%とすることで合意した。 銀行監督委を構成する監督当局者らは、金融機関の計算方法にばらつき があるとの批判を踏まえて、各行のリスクウエートの設定手法を評価す る準備を進めている。事情を直接知る関係者が、協議が非公開だとして 匿名で語った。

イングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員会(MPC)の元委 員であるロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのチャールズ・グッ ドハート教授は「リスクウエートが操作可能であることに疑いの余地は ない。科学的と呼べる状態とは何光年もの隔たりがある」発言。「リス クを把握することは可能だが、生きた市場を反映する形でうまく調整す ることができないという考えには決定的な欠陥がある」と話す。

金融機関には、不動産ローンやデリバティブ(金融派生商品)、個 人・法人向け融資といった資産のデフォルト(債務不履行)リスクを独 自に評価し、必要な自己資本を判断する内部のルールが存在する。資産 リスクが高いほど、多くの自己資本の確保が求められるが、それはトレ ーディングや投資の収益力に直接影響する。

各行が独自に採用する内部モデルは公表されておらず、同じ資産で も異なるリスクウエートを設定することができると監督当局者やアナリ ストらは指摘している。

エセックス大学のプレム・シッカ教授(会計学)は「金融監督当局 にはこれらのデータを詳細に検証する人的資源はないだろう。しかし、 データが公開されれば、一般の人々でも学識経験者でも、金融機関でも 預金者であっても、誰かがゆがみを指摘することで、これらの銀行の監 督当局を手助けすることができるのではないか」と述べている。

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