日産自がトヨタやホンダを凌駕、今期営業益-震災や中国事業で明暗

自動車メーカーが6月に発表した 今期(2012年3月期)予想の営業利益で、日産自動車はトヨタ自動車 やホンダを上回る見通しを示した。東日本大震災の前に、日産自は世 界需要の取り込みに向け増産体制を整えていたことが、生産への影響 を限定的にした。

「欠品がなかったわけではない。ただ、結果として他社よりも部 品在庫はあった」-日産自のカルロス・ゴーン最高経営責任者(CE O)は27日のインタビューで震災の影響が他社に比べ軽微だった理由 を増産で部品在庫を増やしていたタイミングだったからだと語った。

今期予想の営業利益は、日産自が前期比14%減の4600億円、ト ヨタは同36%減の3000億円、ホンダが同65%減の2000億円。営業減 益率は日産自が他社に比べて小幅にとどまっている。

日産自の田川丈二執行役員は23日、震災の影響に関して「生産は 5月から前年並み」と述べ、4-6月期は生産、販売とも前年同期を 上回る見通しを明らかにした。日産自は今期の世界生産で前期比11% 増の461万3000台を計画している。一方、トヨタとホンダは、震災影 響に伴う生産減の挽回が下期になるとしている。

アドバンストリサーチジャパンの遠藤功治アナリストは、震災後 最も調達困難だった部品の一つ、マイクロコンピュータの日産自グル ープの在庫状況について「4次サプライヤーから部品子会社まで合わ せると4カ月分はあったのではないか」と指摘。一方、新型車への切 り替えに伴い、新たな部品の調達を始めていたホンダは、在庫が少な く影響も深刻だったと述べた。

ホンダは北米でシビック投入時期

ホンダは北米で主力車種の新型「シビック」投入時期にあり、マ イクロコンピュータを新製品に切り替えていた。このため、部品在庫 が通常より少ない水準だったと指摘されていることについて、ホンダ の池史彦専務は28日、「発注のタイミングのずれがあった」と述べた。

震災影響で供給不足の日本メーカーは5月の米国市場の販売統計 で、トヨタが前年同月比33%減、ホンダが同23%減だったのに対し、 日産自は9.1%減だった。

自動車市場で世界最大となった中国は、日産自にとっても世界販 売の25%を占める最大市場。今期は前期比12%増の115万台の販売を 目指す。一方、ホンダは震災影響もあり今年の中国販売を前年比2% 減の64万台と計画している。トヨタは昨年の中国販売が同19%増の 84万6000台で、今年の計画は明らかにしていない。

中国市場は競争激化

ホンダの池史彦専務は14日、中国市場には減速感があり、高所得 者層向けの需要が一巡し、「競合が厳しいことは認識している」と述べ た。今後は、現地ブランドの車両を新たに投入していく方針という。

また、中国の現地事業の営業利益への影響に関しては、遠藤アナ リストが「中国事業の計上方法の違い」と指摘するように、持ち分法 か比例連結かという会計方式の違いもある。トヨタやホンダは持ち分 法により中国事業の利益が営業利益に反映されないのに対し、日産自 は比例連結により反映されている形だ。

日産自は中国など新興国市場を中心に、需要を上回る世界販売の 拡大を目指している。日産自は27日に発表した中期経営計画に、前期

5.8%の世界市場シェアを17年3月末までに8%へ引き上げるなどの 目標を盛り込んだ。ゴーン氏は28日、シェア目標の達成時期を前倒し したいと述べ、新興国販売の拡大に期待を表明した。さらに、「目的は シェアそのものではなく、企業として利益を上げることだ」と強調し た。

日産自はブラジルで年産20万台の新工場を建設し、現地シェアを 現在の1.2%から5%へ拡大を目指す。東南アジア諸国連合(ASE AN)では現在6%の市場シェアを15%に引き上げる計画も示した。

高級車の拡充で利益も引き上げ

また、新興国販売の拡大と合わせて、日産自は高級車ブランド「イ ンフィニティ」の品揃え拡充などで利益の引き上げを狙う。ゴーン氏 は24日、今年の中国市場でインフィニティ販売を倍増する計画だと語 った。今後70以上の市場で10車種以上を販売し、16年までに世界の 高級車市場でシェア10%を目指す。

ゴーン氏は「新興国だから安い車しか売れないというのは間違い」 と述べ、経済成長とともに新興国でもインフィニティ販売が大幅に増 える可能性に言及した。昨年のインフィニティの世界販売は15万台。 一方、トヨタの高級車ブランド「レクサス」の販売は41万台だった。

米国の調査会社IHSオートモーティブの西本真敏氏は、日産自 の中期計画について、小型車投入やインフィニティの販売計画など「非 常にバランスのとれた成長戦略」と評価した。海外での提携でも効果 を生み出すという見方を示した。仏ルノーと資本・業務提携関係にあ る日産自はロシアの自動車会社アフトワズや印バジャジ・オートなど と提携している。

震災後の株価動向は、3社とも震災直後の3月15日に今年の安値 をつけた。3月15日と6月28日の終値を比較すると、日産自は18% の上昇となった。一方、トヨタは4.9%、ホンダが2.2%のそれぞれ上 昇だった。

--取材協力:向井安奈 Editor:Hideki Asai、Kenshiro Okimoto

参考画面: 記事についての記者への問い合わせ先: 東京 萩原ゆき Yuki Hagiwara +81-3-3201-8864 yhagiwara1@bloomberg.net

北村真樹子 Makiko Kitamura +81-3-3201-8482 mkitamura1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:

大久保義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net

井上加恵 Kae Inoue

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE