ドル全面高、ギリシャ財政緊縮計画の可決不透明でリスク回避強まる

東京外国為替市場ではドルが全面 高。ギリシャの中期財政緊縮計画の採決をめぐる不透明感からリスク 回避の動きが強まり、対ユーロなどを中心にドル買いが先行した。

ユーロ・ドル相場は早朝に1ユーロ=1.42ドル台前半を付けた後、 下落に転じ、午前10時前には一時、1.4103ドルと今月16日以来の水 準までユーロ安・ドル高が進行。その後は1.41ドル台前半でもみ合う 展開となった。

みずほコーポレート銀行国際為替部のマーケット・エコノミスト、 唐鎌大輔氏は、ギリシャに関しては財政再建計画が通るかどうかが焦 点となっているが、本来は財政再建計画の実現の是非に焦点が当たる べきで、「明らかに1年前よりもこの問題は後退している」と語った。

対ユーロでのドル買いが波及し、ドル・円相場も1ドル=80円台 前半から一時、7営業日ぶりドル高値となる80円89銭まで上昇。午 後にかけても80円台後半でドル小じっかりの展開が続いた。

一方、ユーロ・円相場は朝方1ユーロ=113円85銭から114円30 銭付近へ上下に振れた後、114円ちょうどをやや上回る水準で小動き となっていたが、欧州市場に向けてはややユーロ買い・円売りが優勢 となり、一時114円35銭まで値を切り上げる場面が見られた。

ギリシャ、デフォルト回避へヤマ場

ギリシャのパンガロス副首相はギリシャが国際支援を得るために 必要な財政赤字削減と民営化を完全に実行できない可能性があると述 べた。英紙ガーディアン(電子版)がスペイン紙エルムンドを引用し て伝えたもので、副首相はギリシャ議会が780億ユーロの緊縮策の一 部の改革措置を拒否する公算があると指摘した。

ギリシャのパパンドレウ首相は今週、昨年決定された1100億ユー ロの第一次国際支援の下での第5弾の融資を確保するため、議会に 780億ユーロ(約9兆円)規模の財政緊縮策と国有資産売却の承認を 求める。

財政緊縮計画が否決された場合、8月の66億ユーロ(約7500億 円)の国債償還に充てる資金を必要とするギリシャはユーロ圏初のデ フォルト(債務不履行)を起こす可能性がある。各国政府と銀行がギ リシャ支援への民間投資家の関与をめぐり意見を戦わす中、7月3日 にはユーロ圏財務相会合が開かれ危機対応が再び討議される。

岡三証券外国証券部シニアマネージャーの相馬勉氏は、財政緊縮 計画が議会を通過したとしても「実質的に何かが変わるのか」という 疑問は残ると指摘。欧州当局者の間である程度デフォルトの可能性を 視野に入れている感もあり、「玉虫色」の解決のままではユーロが強い というムードにはなりにくいと話していた。

3日間にわたる議会審議は現地時間27日午後6時(日本時間28 日午前零時)から始まる。中期財政計画法案の採決は29日の予定。5 年間の財政計画の実施細則を定める法案も議会審議を経て、30日の期 限までに採決される見通し。

与党・全ギリシャ社会主義運動(PASOK)は300議席中155 議席を有しているが、そのうちトマス・ロボプロス議員は24日、電力 会社パブリック・パワーの政府持ち株売却に反対するアレクサンドロ ス・アタナシアディス議員に続き、反対票を投じる可能性があると表 明した。

SMBC日興証券国際市場分析部、為替担当の松本圭史課長は、 緊縮財政計画はおそらく可決の見込みではあるだろうが、まだ予断を 許さない状況だとした上で、きょう以降のギリシャ債のロールオーバ ー(償還金の再投資)をめぐる金融機関との話し合いの行方次第では、 「デフォルト(債務不履行)とみなすかどうかなど格付け機関の動き を決める可能性もあり、同時並行で見ていく必要がある」と語った。

リスク回避

ブルームバーグ・データによると、ドルは主要16通貨すべてに対 して前週末の終値から上昇。ニュージーランドで発表された5月の貿 易黒字が予想を下回ったことを手掛かりに、対ニュージーランド・ド ルでは前週末比1%以上値上がりし、対オーストラリア・ドルでは4 月中旬以来の高値を付けた。

SMBC日興証の松本氏は、ユーロ・ドルは取引量が多いため、 対ユーロでドル買いがかさむと、ドル・円もドル高方向に引っ張られ やすい部分があるが、ドルそのもので見た場合、米国の「ソフトパッ チ(景気の一時的軟化局面)」がどの程度なのかをまだ見極める局面 で、ドル・円が大きくレンジを上抜けていくことは難しいと指摘。今 週末から来週にかけてはISM(米供給管理協会)指数や雇用統計な ど米国の重要指標をにらみながらの状況が続くとみている。

前週末の欧米株式相場はイタリアの銀行株が急落するなど銀行株 を中心に下落。欧州債務危機の深刻化や米景気の先行きに対する警戒 感から、週明けの東京株式相場も反落した。

--取材協力:野原良明 Editor:Masaru Aoki, Joji Mochida

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